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Behemoth / The Satanist (2014)

ポーランドのブラック/デスメタルバンドBehemothによる、10thフルレングスアルバム。
Nuclear Blastよりリリースされた。

Nuclear Blast聴かず嫌いの私だけど、流石にスルー出来なかった本作、先ずNergal氏の存在感、と思う。
心の深く深い所に在る、この世の真理の被膜に触れたような歌唱に圧倒される。

また、全体を通した雰囲気として、かなりの一貫性があり非常にクオリティが高い。
それはThe Satanistという思想がわかりやすい為なのだろう。

音楽性としては、不協和的な音の運びや研磨性の高く物寂しい雰囲気等から、ブラックメタルの趣きが豊満になっている様に感じられる。
その影響でいつものNile的暴虐性は薄れたものの、デスメタリックな感性については尚も背後に佇んでいる、
それはメロウかつ薄らヒリヒリとした雰囲気で、CarcassのHeartwork、SadistのAbove The Light、Edge of SanityのThe Spectral Sorrows、、
等のメロデス黎明期の音像とも共振する勢いだ。

つまりは、本作の特徴として、ブラックメタルの暗黒性が強いのは言わずもがな、
独自性のあるメロディアスさと、モダンなエクストリームメタル界隈に唾を吐く原始的、原初的な雰囲気が、濃厚だと言えるだろう。
なお、原初的と書いたものの音質は良い。

また本作、一貫性に気を遣いながらもバラエティに富んだ楽曲と、その起伏に富んだドラマ性、
ギターが決めるところで、こちらの想像以上に決めてくると言うそんなスター性も聴いてて嬉しい点で、
聴いてるうちに段々嵌っていく感じではなく、最初から出来が良すぎる為、もうどうしようもない。

結論として本作は、
白血病にかかり生死の淵を彷徨い復活したNergal氏による一世一代の巨編であると共に、
この世に遍く生物に於いて、その原始の、その根底の部分に在る、その痛切なまでに憐れな生への渇望を感じさせる名作である。

心の深く深い所に在る、この世の真理の被膜に触れたNergal氏だった。
なんと言うか白血病云々の話から、私にはそう聴こえたのです。

曲目は、

1. Blow Your Trumpets Gabriel  04:25
2. Furor Divinus  03:06
3. Messe Noire  04:04 
4. Ora Pro Nobis Lucifer  05:35
5. Amen  03:49
6. The Satanist  05:33
7. Ben Sahar  05:34
8. In the Absence ov Light  04:58
9. O Father O Satan O Sun!  07:13

Total 44:17