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Krieg / Transient (2014)

US産ブラックメタルバンドによる、7thフルレングスアルバム。
Candlelight Records USAよりリリースされた。

2010年に発表された前作から今作までの間で、Chaos Moonの中の人がギター要員として、Vrolokの中の人がノイズやアンビエント要員として加入している、
それでまたボーカル以外は全員変わっているようだが、目ぼしいところは書き記した積もりで先に進みたく思う。

日の本ではあまり目立たないが、固定ファンは確保しているようで、今年Split等の音源を大量に発表しそれなりに話題となっている彼ら。
また、音楽性として、アルバムごとに一つの決まったコンセプトを感じさせる職人肌の彼らだが、
本作ではノイズやアンビエント要素が印象的に付加されており、Alex Eckman Lawn氏の手掛けた廃墟のジャケットを見れば分るかもしれないけれども、
全体を通して荒廃した都市を感じさせる、退廃的な雰囲気とシティ派な感性を前に出した作りとなっている。

暗くrawなアトモスフィアについては、いつもながらある、
また暴走ハードロックの素養も、いつもながらある。
いつものrawでこもり気味なギターリフは、すこしテクニックや音自体が明瞭かつ正確になったようだ。(そらメンバーが変わったのだから)

それでは、何が一番違うのかと言うと、本作ではインディーロックのようなオシャンティな趣きが幽かにある、
それはアンビエント要素を割り増しした為でもあるが、♯8♯9等ではギターワークまでもが、その音楽性に接近している。
それが先で述べたシティ派たる所以なのだ。

その影響あってか、今回は全体を通しても難なく聴けることが出来る上、
今投稿は「アルバム全体の起伏に富んだ良質な曲構成と廃墟的なセンスの良さがあるよね」等とでもいうような、
一見尤もらしくも、手を抜いた楽な感想で出来る。
・・・まあ、このようにやさぐれた思考に嵌るのは、このKriegを聴いているからであろう。

ポピュラリティに痰を吐く真のブラッケンロールと、退廃的なアトモスフィアの混在した、
退廃アトモスフェリック暴走ブラッケンロールとでも言える、このオリジナリティは彼らにしか出せず、そもそもの所で彼らしかやっていないように思う。※USBMといえば、みたいな感もあるが。

そしてそのオリジナリティにインディーロック的オシャンティを足したのが本作の概観と言える。
総じて退廃的なアグレッションで、自身の中に潜む隠れマゾヒズムを刺激してくれるぞ。

つまり本作は、傍から見た建造物の朽ち進む青ざめ恍惚とした表情に、
その建造物の情感が乗り移るかの如き被虐趣味精神を感じ、その耽美な一時に溺れて逝く・・・・・・・・・・

そんな感慨を味わえる一枚に仕上がっている。
廃墟マニアには恐らく最高傑作になるであろう驚異の表現力だ。

曲目は、

1. Order of the Solitary Road  05:43   
2. Circling the Drain  03:46   
3. Return Fire  04:15   
4. To Speak With Ghosts  04:42   
5. Atlas With a Broken Arm  05:08   
6. Time  05:10   
7. Winter (Amebix cover)  05:32   
8. Walk With Them Unnoticed  03:57   
9. Ruin Our Lives  05:34   
10. Home  07:38   
11. Gospel Hand  05:05   

Total  56:30