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Black Magic / Wizard's Spell (2014)

ノルウェーの正統派メタルバンドによるデビュー作。
今年の新譜が好評なHigh Spiritsの所属するメタルメェイニア専門レーベル、High Roller Recordsよりリリースされた。ジャケ買いした。

Jon氏  (Bass, Guitars, Vocals)と、Sadomancer氏  (Drums, Vocals)の二人からなるこのBlack Magicは、
翳り憂いのある正統派な80‘メタルに、時折、初期DeathSSを思わせるギターリフやオカルティックなメロディ、またSEをぶち込んでくる。
それは、現在の音とは無縁なサウンドプロダクションである為、殊更に怪しくミステリアスだ。

そしてイギリスかイタリアのバンドだろうなと思ったら、まさかのノルウェーで、こりゃあ好き者にも程が在る。
だが、音についての目新しさは皆無であり、オマージュ精神の横溢する1stアルバム的な堅実性がもろ見えだ。

つまりは、先人たちの作り上げてきた音楽の流れを、
湧き口から汲み取り沸騰させカルトで煮込んだアツいカルトヘビィメタルサウンドであると、
此処で一度、音楽性について纏め置きたく思う。

全体を通して、非常にアツいカルトヘビィメタルサウンドで満ち満ちている本作。

カルトについては、先ずオープニングからカルトである、何年前の幻想音楽なんだ、とでも言えるような怪しさと妖しさがある。
その後もちょい下手だが自信満々なコーラスと、ちょい下手だし初期Slayerからの影響丸出しだが自信満々なボーカルや、曲の合間でちょっとだけ入るカルトなSE等、そんな節々からお分かりいただけると思う。

アツいヘビィメタルについては、インストで勝負する♯3等でも分るが、全体的にこれぞヘビィメタルな楽曲の展開で、かつメタルマニアのツボ押さえまくりな音で畳みかけてくる、
そしてその展開に組み込まれる、技巧派なリフやNWOBHM顔負けの流麗な泣きのギターソロに於いては、出来が非常に良く、また情感的なため、輪を掛けて琴線に触れてくるのだ。

また、♯6から最後までは、かなりイーヴルだ。
恐らく川嶋未來氏のコラムなどを欠かさずに読んでいる川嶋未來フリーカーには必聴の音楽だろう。
其処からはオカルティックな音の運びに、イーヴルで粘っこく纏わりつく攻撃性と、
タメの効かせたリズムセクション、そして悪魔が乗り移ったようなボーカルによる歌唱を聴かせているのだ。

これはおお!?と思う。
おお!?と思わなければいけない訳ではない。
ただ単純におお!?と思わせる新人が出てきたと言うわけなのだ。
次回作が出るとするのなら絶対に買うと思わせる程の。

だがしかし今回は、
私のこの身勝手な興奮を差し引けば、単なるB級メタル作品を紹介していると言うのは、言わずもがなだろう。
正直初期DeathSS程のカルトメタルとしての完成度や、何かが起こりそうなミスティックパワーもない。

だがしかし、言わせてもらうが、
本作には何処か、現代のサウンドプロダクションにはない現場の熱がある、
マニアのツボを突くギターフレーズにも富んでいる、
そして何より伝えたいのは、かつてのDeathSS程のクオリティに向かって行ってくれるような可能性をも感じさせる若々しさがあるということで、
未来に起こりうるかもしれない完全なる初期DeathSSの踏襲、この事の顛末へは、どうしても期待を感じずにはいられないのだ。

結果、初期DeathSSや、その他に音像の近しいという事で、
初期Running Wild、初期Slayer、初期Metallica等が好きな方には、是非とも知っていただきたいバンドとそのデビュー作でございました。

以下は曲目、流石Black Magicと言うだけあって黒魔法である。

1. Black Magic    00:51   instrumental 
2. Rite of the Wizard   03:23 
3. Voodoo Curse    05:12   instrumental 
4. Thunder of the Undead   05:40  
5. Death Militia    03:59  
6. The Ritual    01:15   instrumental 
7. Night of Mayhem   04:45 
8. Possessed    03:46  
9. Embrace by the Occult   04:14

Total     33:05 

因みに♯6~♯9は2010年のデモ音源「Reap of Evil」と同じ、♯1から通しで聴くとやはりそこから雰囲気が変わる。