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The Atlas Moth / The Old Believer (2014)

USはイリノイ州シカゴのポストメタル/アトモスフェリックスラッジメタルバンドによる、3rdフルレングスアルバム。
Profound Lore Recordsからリリースされた。<また今作よりドラマーが変更し無名の新しいドラマーが叩いている。

シカゴでのポストメタルやスラッジメタルと聞くとRussian CirclesやPelican,Indian等を彷彿とさせるが彼らの音楽性はそれらとは一風変わっており言うなれば普遍的でスローなアトモススラッジをその音楽性の主としてヒーラー的なサイケデリック要素とブラックメタルにも通ずるボーカルワークを内包した独自のポストスラッジメタルという風に思う。全体を俯瞰してトリプルギター編成でポストスラッジ然とした刻みをバックにヒーラー的な音色を纏ったサイケデリックな音を飛ばしているギターワークとエグい叫び声での歌唱等が印象として残る。その印象の副産物として不思議と音像に都会的な情緒や先進性を感じられるのがこの独特な世界観と心の世界で相対して湧き溜まりほろほろと流れ落ちてくる汀での感慨だ。それをもう少し奥まって書くと執拗に同じリフを用いるヒーラー的なサイケ色やポストスラッジ/ドゥーム色の強いギターワークと同じくタメの効かせたリズムセクションに叫び歌うボーカルの一人と揺蕩うように歌うボーカル二人の計三人によるボーカル達の妙技が起伏に富んだ曲構成や一見同じような音を多用するため金太郎飴状態に見られがちだが確りと強かに存在するアルバムの展開美構築力と合いまう事により結果としてジャケットの如く無垢な真白の精神を携えたと言える激重音楽として心に迫りくるという訳である。と言うわけで魔女狩りによって業腹な心持ちを抱えた中世の魔女による幽かな希望が眼前まで迫りくる秀作に仕上がっているのでポストメタル好きやスラッジドゥーム好きまた音像の割と近しい今年のPallbearerが気に入っている方ならきっと気に入るであろう一枚だ。

以下は曲目、

1. Jet Black Passenger  04:29  
2. Collider  03:56   
3. The Sea Beyond  06:07  
4. Halcyon Blvd  04:17
5. Sacred Vine  05:46 
6. The Old Believer  04:42  
7. City of Light  05:00  
8. Wynona  05:13 
9. Hesperian  05:51  
10. Blood Will Tell  04:57  

Total  50:18