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Encoffination / III - Hear Me, O’ Death (Sing Thou Wretched Choirs) (2014)

US産ドゥームデスメタルバンドによる、3rdフルレングスアルバム。
Selfmadegod Recordsよりリリースされた。

このバンドは、今デスメタル界隈で一番やべえレーベルのDark Descent Recordsに所属する、
Father Befouledと言うデスメタルバンドのJustin Stubbs氏(g.vo)とElektrokutioner氏(dr)によるFather Befouledのサイドプロジェクト的なバンドで、
体制はJustin Stubbs氏がドラム以外の全パートを担当して、Elektrokutioner氏がドラムを叩いているようだ。

音楽性は、Incantationの音をMossの拷問的な曲展開に併せて垂れ流していくような雰囲気が濃厚となっており、
所感ではIncantationの音楽性での説明に於いて度々用いられる「冥界より漏れ出した瘴気」とかいう節度を守ったレベルの音楽ではなく、
冥界の門全開で垂れ流された、瘴気の激重暗黒弛緩微振動が充満し、
その気の振動が耳に触れることで偶然、鬱屈とした音楽に聴こえてくる現象。と言いたい音楽性だ。

そんな本作は、深く濁り底まで沈み堕ちるおっそーい、音の墓場の金太郎飴状態で、同じような展開に同じような音が延々と続いて行く、
「良く聴けば微妙に展開しているのだなあ、うふふ」と、薄く笑えるほどに、暗鬱な音の深い部分で非常に平坦な概観を形成している。
また、その平坦な内容の中で、時折一瞬のノイズと間が落とし込まれ、音の墓場の金太郎飴の酩酊状態から無理やり起こされるというサディズム的センスがあるのも特筆したい所だ。

♯1のイントロを通過して♯2に入る瞬間、キーボードが薄らと幽玄な音色を放つ、そこで一瞬ゴシックデスドゥームの暗黒耽美的な趣きを期待する私だが、
その刹那で、かの音に包まれる。
綺麗なうんこを音にしたらこんな感じだろう。言わば、綺麗なうんちを顔にブチ撒けられる気持ちに近い。
その後も幽玄なキーボードについては、その延々と続く綺麗な糞便の中で時折恣意的に響く。

総じて生粋のドゥームデス好きなら喜んで聴くのだろうが、一般には到底理解不能な作品に仕上がっている。
私はDisembowelmentやMoss等が好きな友人に聴かせようと思う。

結果、一たび聴けば自室が異様な雰囲気に包まれてしまう。終わらない激重暗黒弛緩微振動に耳と脳が安堵してしまう程の怪作だ。

曲目は、

1. Processional - Opvs Thanatologia  01:01   
2. Charnel Bowels of a Putrescent Earth  06:46   
3. Cemeteries of Purgation  07:22   
4. Crowned Icons  07:19   
5. Rotting Immemorial  07:01   
6. From His Holy Cup, Drink; Come Death  09:27   
7. Pale Voices  08:44   
8. Mould of Abandonment  10:27     

Total  58:07