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Dead Congregation / Promulgation of the Fall (2014)

ギリシャ産デスメタルバンドによる、2ndフルレングスアルバム。
Profound Lore Recordsよりリリースされた。

デスメタルの形而上学的に言えば、オールドスクールな作品は最早一部のマニア向けなのであろうが、何年経過しようとも昔の良い音像の型と言うものは、やはり色褪せずに聴く者の心に残り続けるものだ。
ネットワークの興隆する現代社会では、先細り型の間口の狭きデスメタルサークルと言える内輪にて、その昔の良い音像が、先人たちにより次々に掘り起こされ、掘り下げられ、愛でられて、飽きられて逝く。

また進んだ時分に別のサークルにて、愛でられた形跡を簡単に確認できるネットワーク準拠の現代社会に於いて、後追いがその愛でた形跡から昔の良い音像としてまた起こし、掘り下げ、また愛でて、飽きてしまわれる。そしてまた後続が次々とそれを掘り起こして・・・
より良い音像を思考するバンドにとって、またそれを嗜好する聴き手側に寄っても、そのような螺旋の動きを見せてくれるのは面白いことで、
世に遍く有象無象は、円の動きで不可視かつ無意識に広がりつつも縦に流れて行くという、我々の意図しないところで勝手に運営されるこの世の真理を、ここでも垣間見ることが出来ると言うわけだ。

そういった観点から見やると、本作もその型にきつく捻じ込まれるのは言わずもがなと言うやつだろう。
所謂フガフガモゴモゴとした側のオールドスクールデスメタルの、
荘厳かつ陰惨な雰囲気を濃厚に醸し出す、
Incantation、Immolation、Morbid Angelにも肉薄するアトモスフィアを孕んだ高クオリティの音像を2014年にぶっこんできたと言える本作は、
音質はIncantationで、曲展開はImmolation、其処から露わになる構築美等の知的さについてはImmolation~Morbid Angelに接近するクオリティを見せる、
普遍的なオールドスクールデスメタルのツボを抑えまくりで、20年前のデスメタル作品と言われれば、私は当時の傑作として簡単に受け入れることが出来る。

ただ前半の構築力に比べると後半の印象は薄くなるというのが難点で、
確かにスゲエ音だが、先人たちの持っていた思想的な凄みも尻すぼみであるため、
やはりその当時の、20年前の音への憧憬のみが、若干先走りしている様に思われるという観があるのは、私の主観ながらに一応付け加えておきたい。

♯1のド頭からブラストビートでブチ抜け、
徐々に悶悶として行き冥的なギターソロを通過し、ブチ抜け、そして悶悶と♯2へ変わりフガフガモゴモゴと焦燥し展開すると言う流れが、個人的なこのアルバムのハイライトとなっている。
また♯3は滅茶苦茶最近のImmolationに似た曲展開で、似ていようが良いものは良いのだという説得力がある。

総じてオールドスクールデスメタルとして優等な秀作クオリティであり、
20年前のデスメタルへの憧憬をものの見事に形にした、荘厳かつ陰惨な雰囲気を濃厚に醸し出して、
現代的エッセンスとも交えながら総括することによって作り上げた、生真面目なオールドスクールデスメタルの秀作と言えるのではないだろうか。
スゲエ音なのは確かであり、昨年何もいいことが無かったデスメタラーには胸を張ってお勧めできる一枚と成っているのは違いない。

このようなリバイバル然としたアルバムは枚挙に暇がないくらいに出てくる昨今だが、今後ともお財布と相談して歓迎したいところだ。

曲目は、

1. Only Ashes Remain  05:13 
2. Promulgation of the Fall  03:40
3. Serpentskin  05:33
4. Quintessence Maligned  04:14
5. Immaculate Poison  05:08
6. Nigredo  05:00
7. Schisma  07:18
8. From a Wretched Womb  03:56

Total  40:02