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Swallowed / Lunarterial (2014)

フィンランド産ドゥームデスメタルバンドによる、1stフルレングスアルバム。
Dark Descent Recordsよりリリースされた。

これはギターボーカルのSamu Salovaara氏と、ドラムボーカルのVille Kojonen氏から成るベースレス構成のドゥームデスバンドらしいが、聴くとベース鳴ってね?と音像に対して怪訝な表情を浮かべる。
恐らく本作では過去在籍していたベーシスト3人のうちの、誰かの音が鳴っているのだろう。

音楽性としては葬式めいたAutopsyのようなサウンドで、
何処かベースが居ないかの如き、音の纏まりの無さが在り、それがプラスに働いている。言わば陰鬱を蹴散らす陰惨を彷彿とさせる、冥獄界サウンドであるように思う。
更に後半ではDisembowelmentの如きに、冥獄界の汚泥に沈んでいくかのようなサウンドスケープを展開していて、最後の♯6が25分と言うこともあり、流石に体感ではこちら(後半)の印象が強い。

そんなようなことで、聴けば、Autopsy/Disembowelment/Winter/Grave/Coffins/Anatomia/Onirophagus/Krypts/Temple of Void/Asphyx/Demigod/Obliteration/Execration等のドゥームデス群が群がってくる音像であるが、
♯5では、ポストメタル的なエクスペリメンタル然とした音像を、ドゥームデスの音で披露していたり、冥獄界のアトモスフィアを漂わせ♯2へ迫るように繋げるイントロの♯1を除いた、♯2♯3♯4の構成でも緩急に富んだ見事な展開で聴かせてくれるので、決して「げへへ」で垂れ流しな、漫然とした一辺倒サウンドではないし、ギターはフューネラルドゥームにも肉薄する陰鬱さが在るし、ドラマーにはフリージャズ等の奔放な雰囲気も感じさせるしで、そういった諸々の因子が詰め合わされることによって、総じてドゥームデスのこれからを切り開いて行く真新しさと、ドラマ性とオリジナリティとが、件の冥獄界にて更に異彩を放つが故に、AutopsyやDisembowelmentの名作を踏襲するかの如く2014年の轟音として2014年に留まり、そしてそこからこの先に出てくるであろうバンド群をも蹴散らす、獄のドゥームデス的怪奇アグレッションと、冥のフューネラル的葬式的陰惨的な重さで、後続と聴く者とを冥獄界へ誘ってくれる、そんな独自の暴虐性が激烈にアツい秀作に仕上がっているのではないだろうか!!

と言う訳で知ってるドゥームデスバンドの羅列がうざい結果となりましたが、今後もDark Descent Recordsや、まだやり尽くされている感の薄いドゥームデス界隈から目が離せないと言うことが良く分かる凄い音でした・・・
関係ないけどCoffinsの新しいボーカル殿は滅茶苦茶ハンサムでございますな。

曲目は、

1. Opening of the Key  01:31   
2. Reverence Through Darkness  06:49   
3. Arterial Mists of Doom  03:52 
4. Black Aura  09:53   
5. Black Phlegm 06:09 
6. Libations  25:14   

Total  53:28  

♯5はyoutubeにリンクしてあります。