Onirophagus%20%20Prehuman
Onirophagus / Prehuman (2013)

スペイン産ドゥームデス/デスドゥームOnirophagusによる、1stフルレングスアルバム。
Xtreem Musicよりリリースされた。

「むじかほ」と言う音楽の個人ブログ様が在るのだが、これは、其方の方で絶賛されていた為購入した一枚であり、
そこでの賛辞に違わぬ、私的にはその年の年間ベストにも挙げた一枚且つ、
驚異の1stアルバムとしてもっと評価されていいのではないかと思う程の力作に仕上がっている、と言うのが今の心境として在る。

本作、簡単に言ってしまえばドゥームデスの音でデスドゥームをやっているのであるが、
それが私にとっては今までに聴いたことが無い、全く持って新しい音像であったのだ。

またデスメタルの形而上学となるのだが、ドゥームデスの開祖はGraveやAutopsyが思い浮かばれるであろう、
やはり、当時の流行であったテープトレードで音楽の造詣を深め、徹底して重い音作りに拘り、またスラッシュメタルの影響をあまり受けなかったスウェディッシュデスメタルとして、バーン誌で伝説の4点を獲得したGraveと、
デスメタルの聖地フロリダよりBlack SabbathやPentagramの影響を受けたサウンドで異彩を放ったAutopsyが、頭一つ抜けて来るわけだ。
その次にフロリダのデスメタルを遅くしたようなAsphyxが食い込んでくるかと思われる。

次にデスドゥームの直接的な開祖とは言わずもがな、英国のParadise Lost、My Dying Bride、Anathemaが出てくる訳だが、
遅いデスメタルにゴシックと名付けたParadise Lostは読んで字の如くゴシックメタルであるし、Anathemaは軟派なやつらとして俄かに不評なので、
やはり今でもその確固たる姿勢で突き進むパイオニアのMy Dying Brideが頭一つ抜けてくるということにしたい。完全なる私の独断だが、そうだろう。

この頭一つ抜き出た3つのバンドを聴いて頂ければ、語感こそ似てはいるものの、互換性のない二つのジャンルとして、また3つの比類のなき音像として、やはり確立されていると言うことがお判り頂けるだろう、
何よりもデスドゥームは耽美、だが、ドゥームデスは汚い。
トラディショナルドゥームからの影響並びにフロリダの洗礼を受けた、ドゥーム様式美デスと言えるAutopsyの音像と、母国スウェーデンより這い出たデスメタルベンチャーGraveの重い音作りとが、ことにドゥームデスの核なのである。
そして、死の儚さ、またそこからの耽美なるものを極限にまで情景へ投影する精神性、ネクロフィリア的ロマンティシズムと相対する哀感を孕む精神性こそが、デスドゥームの核なのである。そこには確かに死の寂寥感と重みが存在するのである。

それでその20年程前に確立された核と核とが接近し、このOnirophagusが出てくる訳である。
本作は、正にそういった因子から紐解けば金字塔的音像なのだ。
今のバンドにてみられる、多種多様な音楽のクロスオーヴァーサウンド(メタルの先鋭化先進化)に於いての一端と、
昨今のオールドスクールデスリバイバル小ムーブメントとが相まい、そして明確なる意志を持ったドゥームデスの音でのデスドゥームとして、
この地獄から噴き出すような荘厳なる暴虐性を孕んだ歪みを、振り撒くのだ。

また、中盤のフラメンコギターによるインスト曲も全体の鈍重感での中にて良いアクセントと成っており、あと一歩垢抜ければ、かのBlackwater Parkにも匹敵するような作品となっていただろう。
兎に角、荘厳でメロウなデスドゥーム要素とじりじりと詰め寄ってくるデスドゥーム要素と、Graveの音作りが同居した佇まいで魅せてくれる一枚と仕上がっているので、おんもい音楽が好きな方にはスーパーお勧めだ。

と言うことで後は「むじかほ」様を見ご覧いただければ完全に補完できる、むしろ今回は「むじかほ」様のみで完全に伝わる内容を敢えて此処で紹介させていただいたのは、
冒頭で述べた、驚異の1stアルバムとしてもっと評価されていいのではないか、といった情より、また単純にこういった音楽が流行ればウチこころぴょんぴょんなんだよね、
と言う訳で、今回はそういった諸々の旨が私の中で横溢した次第での更新でした。

曲目は、

1. Baikal  08:18  
2. Discordia  07:08 
3. Feverish  06:56  
4. Aeger  02:30 
5. Nocebo  07:22   
6. Nyarlathotep  07:42    
7. Ceremonial Swamp  08:26 

Total  48:22 

youtube
ONIROPHAGUS - Discordia