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Pig Destroyer / Natasha (2008)

USはワシントンのグラインドコアバンドによる、4thと5thの間に発表されたEP。
Relapse Recordsからのリリース。

2000年に発表されたIsisとのスプリット作で、IsisがGodfleshのカバーをやっていたと言うのは、仕事の人か余程の暇人でなければ知らないであろうと思いますが、
今作では、Pig Destroyerの方が、Godfleshの延長線上にあるJesuの素養を感じさせるようなポストドローンドゥーム空間を展開している。
EP扱いで在る為、Pig Destroyerのファンや、そのファンの評価を疑わずに聞き容れたドゥームメタルマニアから賞賛されるだけに留まっているようであるが、
正直なところでは、多くの耳に擦り付けたい音源だ。

元々Pig Destroyerの頭脳であるScott Hull氏のギターワークには、様々な音楽のフィードバックっぷりが評価されている一面もある為、
今までの殺気溢れるグラインドコアからの、この大々的なアプローチも鷹揚に受け入れることが出来ると思う。
全1曲36分間のスリルに込められた雰囲気は、ダーク然としたアンビエントパート、若干危ない雰囲気漂う幽玄なアンビエントパートと、バンドアンサンブルの対比と共存で構築されており、
一聴しては、やはりホラーであるものの、何処か美の系譜に準えられるように感じるのは、この歌詞の亡き女の幻影が放つ幽玄さと、そのドラマティックに展開される戦慄の詩的世界観もそうなのだが、
技術的な面で見た際での、肉感的でドゥーミーな暗黒ビートと、ボーカルのやさぐれた気鬱さと、ソリッドに重く歪むギターワークが、自己破壊に傾向する死の欲動と言った風にも捉えられるからであろう。

また、この破滅的なエロスの感じられるアトモスフィアは、どこか諦めにも似つかわしい情感を漂わせながらにして、刹那的に終わる。
それは主観として、精神病予備軍の女を愛し朝まで絡み合った時分、明けの帰りにてふと冷静に物事を俯瞰した際に感じることのできる「ああ・・堕ちたなあ・・・・」とでも言うかのような、退屈な日常然とする精神的被虐に浸れるようである!!!

Scott Hull名義でのRequiemというアンビエント作品も、今作と同時期の発表と成っておるため、00年代後期の彼がそういった音楽偏向であったのは、言わずもがなというやつであろう。
ドゥームの素養については、偉大なるAnal CuntのMorbid Floristでも駄々漏らしであったため、その経験が活きての今作の完成度の高さなのかは謎だが、
α波出しまくってた時分のNadjaや讃美歌歌ってた時分のBodyにも肉薄すべき本作は、単なるグラインドコアバンドのお遊びに埋もれるには余りにも惜しい、
此処までで述べた全ての因子が精神の深い部分で微睡むマッシブな作品である。

哲学的な歌詞を聞き取れない歌唱でブチ抜けるグラインドコア、とよく形容されるバンドだが、やはりそのアドバンテージは、Scott Hull氏の音楽への過剰愛と、その全てを消化する燃費の良い創造性ではないだろうか。
無論本作の歌詞も素晴らしい物である、ジョルジュ・バタイユに代表される死のエロティシズムに傾倒、共感する方であれば、存分に楽しめるであろう。

曲目は、

1. Natasha  37:55 

***Natasha Gregson Wagner (Wikipedia)

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