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Dødheimsgard / A Umbra Omega (2015)

ノルウェイ産アヴァンギャルド/インダストリアルブラックメタルバンドの5thフルレングスアルバム。
Peaceville Recordsからリリースされた。

4thから数えて8年振りとなるアルバムで、4thについても3rdからは8年振りのアルバムであったため、8年に一回アルバムを出すバンドに成ったのかもしれない。
アンダーグラウンドカルト的人気のある1st、プリミティブブラック以降のDarkthroneみたいな2rdから、3rdにてアヴァンギャルド/インダストリアル軸への変遷を行いつつも、
新時代の音楽然として受け入れられているこのバンド。それでもマイナーなのは、インダストリアルブラックの宿命と言うやつだろう。

私は、今年の初めぐらいにGridlinkのfacebookアカウントが激推ししていたので入手したものだが、
8年ぶりの新譜にも関わらず、直ぐに気が付くことのできる方の多いことで感心する。
作風としては、インダストリアルの音自体が時代錯誤として淘汰されていた00年代後半から10年代前半で何かを察したのか、
インダストリアルっぽさは形を潜め、そういったものは、イントロ曲の♯1くらいなもので、後はキーボードによる味付け程度に成っている、
そしてそのキーボードも何方かと言うと知的でアヴァンギャルドな雰囲気が濃厚だ。

展開を掻い摘めば、ジャズ然としたパートも多く、ボーカルの劇みたいな歌唱とも相まってどことなく、同郷のManesらしさを感じさせる。
このジャズの素養としての、ゆったり間を取るベースラインが、酷く心地よい。
また、音の広がりに重きを置いたアコースティックな雰囲気と、クラシカルなトレモロリフ、空間に微睡みを打つアルペジオと言った、静動のコントラストもあり、
其処では昨今のポスト界隈へのアプローチも露発する、最近新譜を出したCodeやVattnet Viskar等を想起させるものだ。
そして、今まで聴いてきた音楽が自らの懐に馴染んで行き、自然と片鱗を覗かせるような佇まいには、Sigh並の音楽愛も感じさせる。
優秀なキーボディストが居るのだろう。

結論としては、アヴァンギャルドな煽情感、アコースティックな静的さと、トレモロ主体の発狂性が反復しドラマティックに展開していく様に、夜明けのユートピアの彷彿を禁じることが出来ない。
影の最後には、やはり陰であり、暗黒思想を持つ音楽集団のユートピアなのだ。
SighのImaginary SonicscapeやIn Somniphobiaに類する、混沌とした芸術性も持ちながら、昨今のポストブラック界に殴り込みをかける曲単位の構築力も見事で、
8年と言うインターバルを踏まえて前作と聴き比べると、この界隈自体が大きく変わったと言うことが再認識できる。

恐らくはバンド自身も変わりゆくブラックメタル界隈への批評性を持ち合わせていたと言うことで、今回の先進的なクオリティが確保されてくる訳であり、
総じて変わり者ブラックメタルの域に身を置きながらも、確かな感動を与える音像が、唯々眩い。

私などが、評価というと烏滸がましいのだが、愚直な舌を滑らせれるのが過ちでないのなら、傑作の匂いがすると言いたい。
決して派手な音ではないのだけれども、音の一つ一つが琴線に触れ、展開の一つ一つが確かなイマジナリーな領域を持ち、そして全てを包み込む結晶となっており、
イントロ以外10分超えという、少し距離を置きたくなる大作志向にもかかわらず、どくどくと引き込まれる。
つまり、アヴァンギャルド且つポストプログレッシブなブラックメタルとしての究極に、限りなく近い一枚と仕上がっているのだ。

やられたい放題である!(ドエム的な)

曲目は、

1. The Love Divine  01:03 
2. Aphelion Void  15:14
3. God Protocol Axiom  13:13
4. The Unlocking  11:21 
5. Architect of Darkness  11:59
6. Blue Moon Duel  14:20

Total  01:07:10  

♯3はyoutubeにリンクしてあります。

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