56764_635623706589906476
Tribulation / The Children of the Night (2015)

スウェーデン産プログレッシブデス/ブラッケンロールバンドによる3rdフルレングスアルバム。
Invictus Productionsから移籍、Century Media Recordsからリリースされた。
バンドロゴの黒いステッカー入り。

夜の子供たち。

緻密でスラッシーなスウェディッシュデスの傑作であった1st、
そこに古風なプログレッシブロックの素養を織り交ぜた2ndときて、本作、
2ndの音像については、同郷のMorbus Chronと頻繁に比較されるものだが、
前身がスラッシュメタルをやっていたこともあり、こちらには研磨性や勢いがある。

それはともかくとして、今作は前作と比べかなりロック方面に寄ってきているようで、
Ghost B.CのOpus Eponymous或は、My Chemical RomanceのThe Black Paradeに近しい始まりをみせる♯1から既にそうなのだが
全体を俯瞰した際での、直線的なバンドアンサンブルと、その中で主体性を持つ、骨太ロケンローな感性でタメを効かせたドラミングや、練られたツインリードギターに、Kvelertakみたいなブラッケンロールの雰囲気を感じさせる。
ただ推進力はあるものの、良くも悪くも暴走の域には達していなく、総じてクールで安定感のある楽曲ばかりである。

これは正直なところで、昨今のスウェーデン産バンドに散見される、置きに行った様な作風に成っているとも言える。
前作に見られた急転直下の曲展開や、スラッシーなスウェディッシュデスにプログレッシブロックを落とし込んだと言う、前代未聞の無理やり感が薄まっている様に感ぜられるのだ。

だが、それも明るく捉えるのであれば、より多くの人に受け入れられるように、メジャーな変遷を辿って行くバンドのような佇まいにも見えてくる訳で、
詰まる所では其れゆえの安定したアンサンブル、其れゆえの手堅いクオリティなのだなと、私の中で落ち着いてくる。

ストレートに攻め立ててから、憂いの伴った情景が昏く広がりゆくような静動の対比は相変わらず巧く、
カッチリとしたバンドアンサンブルの中で幽玄に踊り揺蕩うギターワークには、バンドのギタリストが手掛けたジャケットからの拙い想像力で恐縮だが、そのまま舞踏する黒い狂人を彷彿させるものだ。
そして、そういった因子を掻い摘んでいけば、やはりロケンロー云々やバンドアンサンブル云々技術云々ではなく、音の一つ一つを情景へ投影する先鋭的な芸術性が本作のアドバンテージと成っているようでして、

全てが終わった後には、ペーパーハウス/霊少女みたいな良い映画を見た後の感慨に浸れるのはMorbus Chronとも同様、
なんとなく聴いて胸に孕む抽象的なイメージとして、ろうそく出ーせなどと言って秋の夕闇に消えゆく童子のように、
きゅっと胸の締まるノスタルジーと仄明るいときめきをくれるのである。

総じて昔からのロック好きにも、これからを生きるブラックメタル人間にも、芸術的なデスメタルを愛する方にも、
ペドファイルにも、恒川 光太郎氏の描く世界観が好きな方にも訴求するべき、ノスタルジーなホラーセンスを体現する一枚に仕上がっているのではないだろうか。

秋口に聴けばまた印象が変わりそうである。
素敵。

曲目は、

1. Strange Gateways Beckon  04:28 
2. Melancholia  05:16 
3. In the Dreams of the Dead  05:52
4. Winds  06:51 
5. Själaflykt  05:52 
6. The Motherhood of God  05:23 
7. Strains of Horror  06:14
8. Holy Libations  06:33 
9. Cauda Pavonis  02:55 
10. Music from the Other  07:03 

Total  56:27  

Digipak Bonus Track

11. One Hundred Years (The Cure cover)  06:33 
12. Laudanum Dreams   05:56

Total 01:08:56

♯2はyoutubeにリンクしてあります。

ペーパーハウス
002739eb_medium