a1330376222_10
Below The Sun / Envoy (2015)

ロシア産プログレッシブドゥームメタルバンドによるデビュー作。
スウェーデンはストックホルムにて、ブラック/ドゥーム系を取り扱うTemple of Torturousよりリリースされた。

Envoyとは日本語で使者である。曲目を見る限り、星の使者であろうか。

弱小レーベルから出た新人だが、メンバー各々が何かしらのバンドに所属していたので、落ち度は感じさせないどころか、とても真面な音に成っている。
またそれは、最初にプログレッシブドゥームと書いているものの、フューネラルドゥームやポストメタルに類型できる音だ。
なお、メンバーに関しては、ほぼほぼ同郷のあまり知られていないバンドでなのであるが、ボーカルのEntropy氏については、
ドゥームメタルレーベルSolitude Productionsのフューネラルドゥームメタルバンド、Station Dysthymiaに在籍しているようだ。

所謂メタル不遇のロシアも、ネットを主に、世界のボーダーレス化によって様々な価値観を感じ取っており、ワールドワイドな音楽を受け入れ発信しているようである。
その模索して行く様に、北の人にありがちな堅実主義も相まう事によって、新たなシンジケートを築いていると言えるのではないだろうか。
主には地下グラインド系や、先でのSolitude Productionsの尽力を初めとしたドゥーム系の話だが、諸外国のメタル黎明期を見やればなんとなく理解できることで、
私の拙い脳みそも、そういったマイナージャンルから一つのムーブメントにまで発展する様を想像するだけで、未知への遭遇にも近い浮ついた感慨に浸れる。

このBelow The Sunの音像に於いてもドゥームの香りが色濃いというのは、こんなような話をした今と成っては、想像に容易いことであろうと思う。
静動の対比と、人から見た天体の動きのようにスローなバンドアンサンブルと、強大なものを彷彿とさせるサウンドスケープに孕むラスボス感は、
正直な所フランス産フューネラルドゥームのMonolithe、そのクローンと言っても差支えない音像なのだが、
暗黒の大海の如き静謐と終末を繰り返す、とも言えるエクスペリメンタルなサウンドスケープには、後期Isis、後期Neurosisにも共通した普遍的なポストメタルのポテンシャルを感じさせる。
結果としては、この切迫する闇の環流に、バッドエンディングのエンドロールを延々眺めさせられている気分になる訳だが、
環流と言うだけあって、動きの無いアルバムと言うよりかは、天体の動きのようにサイクルが起きているとも言える。

また、すこしダイナミック過ぎるきらいが在るものの、全体を通して飽きは来ないのは、
ドゥーミーに沈んでいくアンサンブルの中で、中~高音域でのトレモロリフや、暁闇にちりちりと差し込んでゆくインストパートや、アコースティックなアルペジオ等を駆使する静動の対比を主とした多彩なギターワークが、
概ねポストメタルファンにとって、耳馴染みの良い体裁を取り繕っているからであり、
基本インストゥルメンタルの中で、稀に囁き咆哮し唄い発狂するボーカルワークや、♯4の後半でのミステリアスな笛の音色と、パーカッシブなリズムセクションに見られる民族的な素養等も、ハンバーガーの中でのピクルス然とした役割を担っている。

なお、♯5での茫漠と広がるインスト曲から、ラストまでの展開はかなりドラマティックであり、
漣の如きアトモスフィアから始まるアルバムは♯1の1分39秒にて既にクライマックスなのにも拘らず、更にそれを超えていく展開には意外性と驚嘆を感ぜざるを得ないのである!!!!!!!!!!!
兎にも角にも全体を通してとっても聞きやすい、終末と再生のフューネラルドゥーム/ポストメタルに仕上がっていると言うことで、
その筋の方の鼓膜を揺らすだけには留まらないよう、この音が広く広く伝わればと思い、紹介させていただいた次第。

曲目は、

1. Outward the Sky  11:09 
2. Cries Of Dying Stars  08:23   instrumental
3. Alone  10:27  
4. Drift in Deep Space  15:28 
5. Breath of Universe  07:23   instrumental
6. The Earth  06:29   instrumental 

Total  59:19  

♯2はyoutubeにリンクしてあります。

Below The Sun: Envoy
1186106_349425401856365_239754329_n