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Oceanwake / Sunless (2015)

フィンランド産デスドゥーム/ポストメタル/アトモスフェリックドゥームメタルバンドの、2ndフルレングスアルバム。
スウェーデンにあるデスメタルレーベル、ViciSolum Productionsよりリリースされた。

最近のNovembers Doomや、In Mourningに通じる暗澹としたデスメタルに、
耳馴染みの良いオーシャンアンビエント調のギターワークを差し込ませた音を鳴らしている。

有りの儘の心象を吐露すれば、海の水面へちらちらと儚げに映る光は、夕暮れの情景に纏わりつき、
次第に暗澹としてゆく幽玄な郷愁に喘いでいるようで、全4曲構成と成っている一曲ごとの長い尺には、フューネラルドゥームからの影響もあるのだろうと思わせる。
といってここに限定された情報を結集させれば、Ahabなるどこぞの海葬ドゥームを彷彿とさせてくるものだが、あくまでも耳馴染みの良いという枠に収められているのが、知的に感ぜられる。

それは、終末観や病的な悲しみは希薄という意味で、尚かつ、海の夕景が放つ哀愁ノスタルジアの空気感を以ってして、聴衆に訴えかける性質のものであり、
仮借なき表現を用いれば、普遍的な遅く昏く歪んだ音楽から、独自のアイデンティティを滲み出してきた、次世代のデスドゥームと言える。

ポストメタル的見地から見やれば、この「次世代」こそがその大部分を占めるのだが、インスト重視の作風や、情景を微細に描く芸術志向、
それに伴うクリーンパートとデスドゥームパートの反復、そしてそのデスドゥーム故の、鈍重に歪ませたバッキングとの共振も、野暮だが類推解釈の結果として、その枠組みに値するものであると断言できる。
なお、茫漠と広がりゆく海の情景には、バンドの実勢を大事にした時に、The Oceanとの類似性が懸念されるが、こちらには内省的なきらいがあり、不能の読書家とハメ撮り師程の違いを持っているというのは留意したい。

これ等を掻い摘んで掘り下げていくと、クリーンパートとデスドゥームパートの反復に於いて登場する、グロウルとクリーンボイスを使い分けるボーカルワークという特筆すべき点がある。
それに加え、鈍重に歪んだ演奏で展開するインスト重視の作風に於かれる、憂いと哀感を際立たせる様に、共振するのは、逆説的なOpethフォロワーの様相。
そして更に、そこから先での情景を微細に描く芸術志向と言うのを加味させば、その何処となく似た声質とも相まって、ノルウェイの一人アトモスフェリックドゥーム、The Fall Of Every Seasonのドラマ性を彷彿とさせてくる。
♯1♯2でのクリーンボイスなんかは確信的で、やはり大層な感動があるのである。

結論として、メタルの良さと言うよりかは、雰囲気の良さで勝負している点で、若干やきもきした気持ちに陥るものの、引き合いに出されたバンド群に劣ることのない、感動的な海の抒情詩として確かなクオリティを感じさせる一枚に仕上がっており、かつデスメタルバンドがオーシャンアンビエントに焦点を当てた独特の曲展開も素晴らしく、
また、7月と言うこの今の季節感に一致した状況でこそ感じられるような、生に近い情感に強く打ち付けられた次第。

詰まる所で今回は、正常な音楽批評にはなっていないのかもしれないが、感動は何にも代えられないものでして、またそれも流動的なものであるとは存じていますが、この場の悪癖と承知したうえで、感動を紹介させていただくなった次第。

誠に僭越ながら凡そ此処まででご閲覧の皆様にも、概ねバンド名アルバム名通りの音楽をやっていることはお判り頂けただろうと思う。
海の夕景がこころに染み入る一枚。。。。

曲目は

1. The Lay of a Coming Storm  15:37   
2. Parhelion  09:18   
3. Avanturine  08:03   
4. Ephemeral  10:26

Sunless bandcampにリンクしてあります。

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