Minsk-The-Crash-And-The-Draw-album-art
Minsk / The Crash and the Draw (2015)

USはイリノイ州シカゴのアトモスフェリックスラッジ/ポスト/プログレメタルバンドによる4thフルレングスアルバム。
Relapse Recordsからのリリース。
批評家の間で好意的に語られていた前作から、およそ6年振りとなる本作、ギターの片割れ、ベースとドラマーが変わっている。

Minskは、俗に言う後期Neurosisの作風を彷彿とさせる、エクスペリメンタル感の濃厚なポスト/スラッジメタルに、トライバル(民族)要素を封じ込めた、独自の前衛路線を邁進するバンドである。

そのように認知されて久しい彼らだが、本作の作風としては、独善的で恐縮だが抽象的な例えを用いて説明すると、自己内的な世界に於いての衝動性が重く圧し掛かってくる作風なのである。
これは、relapsejapanの記事で紹介されていたSEA OF TRANQUILLITYの行での“MINSKは壮大だ…まるで胸にゆっくりと巨石を積まれていく感覚”のそれと少し被っていて恥ずかしいねえへへへ

正直これでは良く判らないであろうと思うので、より具体的に言えば、概ね後期Neurosisの作風における自己の内的な部分をより深化させていく性質と言った夢の泉があり、
それにYobやRwake、Thaw等にみられるヘビィで芸術的なスラッジ/ドゥームの素養を落とし込むことによって、結果的に昨今の激重音楽界隈に於ける愉楽の世界が厳めしく描き出されるような代物と成っているのである!
先ずそれを形成する因子としては、バンドのトライバル要素を代表するパーカッシブなリズムセクションがよりヘビィに深化していると言う点に加えて、
音自体についても、今までのキャリア上でサイケデリックからは遠くなり、そして澄んだものに代わっていると言う点が挙げられる。
尚、前者については、♯9のインスト曲に於いて顕著だ。
この二つの因子によって、今回は昨今のポストメタルらしさが増強される形となる訳だが、終着点にあるのは没個性的な作品ではない。

所感では、以前と比較して能動的かつ肉感的な部分が多くなっている。また何処となくプログレッシブの素養が減退したように見受けられるものの、
Kyussが端を発した、ドゥームの自己外的な異郷性とはベクトルの異なる、やはりNeurosisが提唱していった、自己内的な世界を探求していく修行僧の様相を彷彿とさせ乍らにして、
最終的には、様々な情景が移ろい変わりゆくドラマティックな展開の素晴らしい、往々にしてMinskに尽きる音像に纏まっている。
ヘビィなスラッジ/ドゥームのアシッド巻き上げる激重方面へのアプローチに、澄んだポストメタルマテリアルを同居させた結果として、
今回も同様に、独自性の濃厚なポストプログレ空間が浮かび上がってくるのだ。

そして、♯3~♯6までの連曲の流れが漫然とコンセプチュアルな趣を出しながらも、♯11の最後まで確と聴かせるアルバム中に於いて、
うねる楽曲の構築美が辿り着くは、深淵なる内世界の静的にして神秘的な情景であり、
そういった静と動とが交差する様は、この手のジャンルからして見れば水魚の交わりな所が在る為、初聴時の新鮮味には希薄なものの、
その新鮮味を差し引いたとしても、主観的に感じられるのは、咆哮と苦悶の歌唱、重く肉感的なドラミング、程良い低音で歪みうねるベースライン、コンビネーション豊かなツインギターが情景に投影する、
獰猛かつイノセントな感覚の一つ一つがこころを揺さぶってくるような、圧倒的なバンドアンサンブルのポテンシャルなのである!!!!

総じて、自己内在的オデッセイの航跡は、芸術性を邁進するバンドの面目躍如と言ったふうに刻まれており、
先進的なクオリティを保持しながらも、スピーカーに信頼を寄せて耳を傾けることのできるバンドの音をまた聴けることが、何よりも嬉しい。

いつもに増して激重方面へ訴えかける、マッシブな秀作だというのは言わずもがなだろう。

曲目は、

1. To the Initiate  12:42
2. Within and Without  07:57
3. Onward Procession I. These Longest of Days  05:53 
4. Onward Procession II. The Soil Calls  06:19 
5. Onward Procession III. The Blue Hour  04:42
6. Onward Procession IV. Return, the Heir  04:11
7. Conjunction  04:53   
8. The Way Is Through 09:23 
9. To You There Is No End  02:48   
10. To the Garish Remembrance of Failure  06:22 
11. When the Walls Fell  10:26 

Total  01:15:36  

The Crash And The Draw (bandcamp)