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Cattle Decapitation / The Anthropocene Extinction (2015)

US産プログレッシブデス/グラインドコアバンドの7th。
Metal Blade Recordsからリリースされた。

#2でPhil Anselmo氏がVoで参加。
#3では、インダストリアル界隈で知られるAuthor & Punisherの、Tristan Shone氏がプログラミングで参加。
#12では、ダークメタルの楔を打ち込んだBethlehemのGtBaであるJurgen Bartsch氏がVoで参加している。

本作の音楽性としては、The Harvest Floor~Monolith of Inhumanityの流れを汲んだような、エクストリームな哀感と原初的な恐怖を煽る代物となっており、
時折、上記のアルバムやKarma.Bloody.Karmaでも聴けたような暗澹としたインストゥルメンタルが、作品の雰囲気と物語を形成するのに役立っている。
また、前作(6th)については、5thにて加入したベーシストがソングライティングに関わるようになったり、
好事家の間では、ブラックメタルの素養が感じられる等と言われていたように記憶しておりますが、
今作でもそのベクトルを邁進しているようで、グロテスク乍メロディアスなベースラインや、冷たい触感を残すコールドリフや、悲哀を感じさせるアルペジオ等が作中の随所に穿たれている。

所感では、今までで好評だったと思しき、気狂う程に痛切なクリーンボイスの機会が多くなっており、
その孕むところの展開自体が非常にコマーシャルで、昨今のメジャーなメタル界隈とも共振するようになったように感ぜられる。
こういった変化は、懸念事項となろうものだが、Cattle Decapitationというデスメタルの可能性を拡張する先進的なOSによって図られたのがいい感じに効いていて、
その連鎖反応で、今まで培ってきた音の数々が、より個性的な方向へ転換しているのだから感嘆モノだ。

強いて言えば、The Harvest Floorの雰囲気に近いとも言えるような、
冷え冷えとして物悲しい空気感の漂う作品に仕上がっているのだが、
その物悲しき終末の中で、腐敗した人体の腹からペットボトル等の人口廃棄物が横溢するジャケットにもあるように、
メンバーの改変等に伴い数々の変遷を行ってきた現在の音像でも、3つのRが行われている。
また、The LocustのサイドプロジェクトでCarcassのフォロワーと言われていた彼らだが、
Benighted等をCattle Decapitationのフォロワーと言わせしめるまでに至ったことも頷ける先進性は今回も不変で、中盤からcarcass版ウィアーザワールドみたいになる#7が頭一つ抜けて印象に残るものの、
難しいこと考えずに一気に聴き通せる全体のソングライティングとしては、
既に誰も関わっている状況ではないものの、The Locustの頃あったファンタスティックな衝動性すら彷彿とさせるのが心憎い。
という訳で分かり辛くて恐縮だし超くどいが、3Rとは焼き増し云々と言うわけではない。
今まで培ってきた音の数々が、より個性的であって、そしてコマーシャルな方向へ転換しているのである。

結果このアルバムは、自然愛やその憐みが倒錯していき、露醜のベクトルと絡み合うことで偶発的に産まれた奇形的な脅しと言えるものであり、それは、聴く者の原初的な恐怖心を煽る。
その源流では、やはりCattle Decapitation自身による破滅への恐怖の情念が漂っている。
その情念が音に変わる時には、既にサディスティックで惨い歪みへと変化していて、
歪みの先を見れば、ただただ人類の業の深さをさっき食った美味しい食べ物と一緒に吐き出している。

曲目は、

1. Manufactured Extinct  04:41
2. The Prophets of Loss  04:07 
3. Plagueborne  04:58
4. Clandestine Ways (Krokodil Rot)  04:34 
5. Circo Inhumanitas  04:03
6. The Burden of Seven Billion  01:23
7. Mammals in Babylon  04:09 
8. Mutual Assured Destruction  02:42
9. Not Suitable for Life  03:16
10. Apex Blasphemy  03:45
11. Ave Exitium  03:06
12. Pacific Grim  05:25 

Total  46:09  

#1はyoutubeにリンクしてあります。

リデュース・リユース・リサイクル推進協議会