51LvFNH2rJL
Hate Eternal / Infernus (2015)

USデスメタルレジェンドMorbid Angel。
それを抜けたErik Rutan氏が主体となり活動するデスメタルバンドことHate Eternalの6thフルアルバム。

14年の10月にMetal Blade RecordsからSeason of Mistに移籍、
そして、この度リリースされた本Infernusについては、前作のシャーマニズム的な作風をSlayerやらDeicide系列の背徳サイドに転換したような塩梅の作品に仕上がっている。

また、今作からドラマーが変わっており、
Burning the Massesという初期The Faceless系列のテクニカルデスメタルバンド並びに、そのUSテクニカルデスのThe Facelessや、
アトモスフェリックデスの新鋭であるFallujahのライブサポートとしても叩いているChason Westmoreland氏が加入。
その結果として、時折Erik Rutan氏の奇っ怪過ぎるリフレインについて行けずにブレーキがかかる場面があった今までの音像が、見事に焦燥しブチ抜けるようになった。

また、その奇っ怪な同氏の手掛ける渇いたミキシングも功を奏していて、硬質なベースの音色や焦燥感の上で聖を汚すかの如きギターソロが鳴り響くことにより形成され、
目下に血塗られた場景が広がりゆく、この凄惨な背徳的サウンドスケープは、
Slayerを起点に、Deicide、Vader、Vital RemainsやBehemothなどへ広がりゆくアンチクライストオブデスメタル一派の正統を行きながらにして、
不穏さを際立たせたメロディセンスを伴う、現代的なデスメタルの先鋭的な芸術性も携えており、直接的過ぎる程、貞淑への汚辱感と凄みが強い。
前作に在った先進性は、2006年にバンドを脱退したGiganのEric Hersemann氏に譲渡したのか。
兎に角、今回は煮えたぎっている。

ただ一辺倒と言う訳ではなく、アルバムの構築力も見事で、その辺はやはりErik Rutan氏のギターワークに敬服せざるを得ないのだが、
荘厳で機密な刻みや、不穏を落とし込むスローな展開等を駆使して緩急をつけ、かのソロプレイで更に場を荒らす、♯9での比較的ファニーなインスト曲などもピクルス的な良さが在り、総じて暴虐の上での聡明にイチコロである。

と言う訳で纏めれば、アンチクライストといったヘビィメタルの中で最も親近的な思想が、
或いは、初期デスメタルから踏襲を重ねてきた焦燥感のある馴染みのソングライティングが、
アトモスフェリックデスやテクニカルデス界隈を渡り歩くドラマーの加入によって成し得た、バンド全体での絶妙な緩急のつけ方と圧倒的な技術力が、
若しくはそこに誘起され琴線に触れる、脳裏により能動的に畳みかける様に成ったErik Rutan氏のギターワークが、
新旧のデスメタルファンにとってもコマーシャルに受け入れられると思しき、説得力のある作品に仕上がっている。

因みに海外のアマゾンレビューを覗いてみれば2015年最高のデスメタルアルバムといった記述もある。
これは、それも納得の充実作なのではないだろうか。

曲目は、

1. Locust Swarm  03:44  
2. The Stygian Deep  04:32 
3. Pathogenic Apathy  04:54 
4. La Tempestad  03:56 
5. Infernus  06:27
6. The Chosen One  03:23 
7. Zealot, Crusader of War  04:46
8. Order of the Arcane Scripture  04:23 
9. Chaos Theory  03:45   instrumental 
10. O' Majestic Being, Hear My Call  05:55

Total  45:45  

♯6はyoutubeにリンクしてあります。