51M4byTQ+FL
Abyssal / Antikatastaseis (2015)

UK産デス/ブラック/ドゥームメタルプロジェクトの3rdフルアルバム。
Profound Lore Recordsからリリースされた。
G.D.C. と言う方のプロジェクト。

時代の最先端を行く混沌の渦。
その広がりつつある、昨今のデスメタルシンジケートをご存じだろうか。
PortalやUlcerateやGorgutsやGigan等が、近年の激重鋼鉄音楽界隈で密やかな人気を博しているその裏で、
このAbyssalというプロジェクトも、その先鋭的なデスメタル、またそこに共振するブラックメタルの一端を講じている。
ただ、本作に至っては、ブラックメタル要素の強い音を展開しているようだ。上記でのデスメタリックな感触も未だ強いが、1stで聴けた汚辱感のあるドゥームデス要素や、2ndのEvokenとOphisの中間辺りのドス暗いドゥーム要素等は結構抜けている。探せば♯3や♯6等にあるにはあるものの、それも混沌とした瘴気として生まれ変わっている模様。

本作の音像としては、大きな部分で、Deathspell Omega傘下のブラックメタルと類似している。Fas以降の。
Fas以降というのは、不協和音と一貫した芸術性を持つプリミティブブラックとして出てきた元来のDeathspell Omegaの音像に、
先鋭的なデスメタルの素養を落とし込んだ音楽として広く知られていて、この昨今のブラッケンドデスに与えた影響というのは、計り知れないものがある。

其の為今回は、雨後の筍のように出てきた、時流のブラックメタル的な概観を持つ作品に仕上がっているのではあるが、
内実として一人プロジェクト特有の音楽愛の形而上学的因子と言えるものが、上記を加味して尚、高い次元を以ってして差し込んできている。
G.D.C. 氏の濃厚な瘴気の漂うデスメタル愛、また同様のブラックメタル愛が、脳内へと聡明に打ち込まれてくるのだ。
更に言うなれば、Fasと冒頭に出てきたGorguts、それも最近のGorgutsとが交わったような、故にDeathspell Omegaの直接的な傘下のAevangelist等とも違った良さのある、凄まじい音像の作品に仕上がっているのだ!

その因子が誘起せしめるは、00年代以降ブラック/デス界隈必携の一枚ではないだろうかと思わせる程、私の中へ一定の必然性を落とし込まんとしていて、
時折湧き立つ激音の中、斜陽のように差し込む仄明るいメロディはマジに煽情的で、涙腺を刺激する程こころに訴えて来る。

このEmperor等のトラディショナルな影響源も窺えるかの如き構築力のなかで、
昨今密やかな人気を博しているデスメタルの先進エリアに、ブラックメタルのメロウさが相まっていて、
その音楽愛の発展する所、突き詰めた所、結果として、単に本人のユートピアを形成しているのではないだろうかとも思う由。

得てして音楽の必然性と言うのは、その界隈におけるプロジェクト/作品の説得力や希少性が、聴き手に対して単独で誘起せしめる、独断的かつ普遍的なマテリアルであり、
それ故に身内で愛でる悪癖を持つメタルメィニアの形而上学として、その幅広い音の世界の中で密やかな人気と成ってしまうのは、仕様がないものだが、
だからこそ、逆説的に人の心に確りと残る名作として、一個人に対しその存在感をより一層濃厚に醸し出してくるものなのである。
と言う訳で本作は、私の心、或はきっと共振するであろうブラッケンドデスメタラーのこころに残る名作として、存在を強く訴えたい。

寓意、隠喩だけではない直球なメロディが、チラリズムと手を取り合っていて、
またその具合がEmperorやDarkspaceの聴かせ方と共通しているように感ぜられて素敵。

曲目は、

1. I Am the Alpha and the Omega  06:28  
2. The Cornucopian  06:28
3. Veil of Transcendence  11:30
4. Telomeric Erosion  06:11
5. A Causal Landscape  07:54 
6. Chrysalis  08:02 
7. Delere Auctorem Rerum ut Universum Infinitum Noscas  11:47 

Total  58:20  

♯2はyoutubeにリンクしてあります。
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