Nosferatu-the-Vampyre-1979
もとい年間ベストです。
私個人が今年聴いた激重鋼鉄音盤から20枚ほど選出させていただきました。
選出は相変わらず好き度ですが、今年は他のウェブジンともあまり変わらないように思います。謎ですが。

振り返りといたしましては、ブラック/デスの界隈が概ね好調で、
他にはデスドゥームやフューネラル系なども充実していたのではないでしょうか。
あとは激重スラッジ系が全然CDでリリースしないので、そこは寂しかったですね。

年末付近は身辺がごたついたりしたんですが、結局高円寺に行き着いてなんとか住めています。
Record Boyが近くて嬉しいです。

恥ずかしながらレヴューしていないのも載せてるんですが、
一応アドバンテージ的なものは書いてありますので、あしからず。
それでは、来年もご閲覧賜りますようお願いいたします。

バンド名/アルバム名
(国名/作数/レーベル/ジャンル)
なおリンクしてあるのはレビューです。


11
1.
(ノルウェイ/5th/Peaceville Records/アヴァンギャルドブラック)

インダストリアル時代も結構意味わかんない作風だったんですが、
より如何わしく先進的な方向にぶっ飛んだ奇作に思います。
ただ圧倒的に知的な印象を受けるのは今作も同様でして、
激しさとは別次元にあるマッドなアヴァンギャルドブラックとして究極的な先進性を誇っているのではないでしょうか。
そんなバンドの頭脳であるVicotnik氏の異才っぷりと、発狂するAldrahn氏の高い表現力に脱帽しました。

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2. Tau Cross / Tau Cross
(混成/1st/Relapse Records/ヘヴィメタル/クラスト)

15年にAmebix復活とか00年代Amebixの音像と言われると11年の名盤Sonic Massを期待してしまいますし
Voivodのキャリア上での上記Amebixとの共通項としてもKatorzなんかと共振する小難しい展開を期待してしまうものですが、
その辺はちょっとした味付け程度で、今作では70~80年代的オールドセンスを交えた有機的かついなたいメタルクラストを実直に展開しています。
渋さとオヤジ臭さが、先でのプログレ性への期待に対して、肩透かしにはならないほどの説得力や重みやら凄みを持っていて、
端正なドラミングの裡に孕むヤケクソ感にもAway氏の面目躍如的な中毒性があり、
長期的な愛聴盤になっています。

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3. Horrendous / Anareta
(US/3rd/Dark Descent Records/デス)

小リバイバルムーブメントが続く昨今のスウェディッシュデス界隈ですが、
10年代急速に発達し、時代を創出せんとすDark Descentとの化学反応で、
ここにきてスウェディッシュデスの夜明けを思わせるのが本作。
メロウさと能動性が知的な曲展開に組み込まれることで、聴きどころを意識的に演出していて、
音は違えどAt The GatesのSlaughter Of The Soulにも近い感動と、
その対比のソングライティングがすこぶる巧く泣けます。

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4. METZ / II
(カナダ/2nd/Sub Pop/ポストパンク/ノイズ)

めっつはポストパンク/ノイズです、
サイコビリーやガレージパンクを通過していると思しきポストパンク/ノイズで、
そのパンッシュな躍動の中では、ケイオティックな空気感も孕んでいます。
非常にミニマムな展開に中毒性があり、メタル好き的見地から言えることとしては、
Pig DestroyerのStoogesカヴァーみたいなノリにやられました。
ツボです。

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5.
(ロシア/1st/Temple of Torturous/フューネラルドゥーム/ポスト)

Below The Sunは、Monolith的なフューネラルドゥームで、
本作は、アートワークが指し示すところの星の使者らしく。
天体の動きを観測するかのようなスローなアンサンブルは、
その巨大さに畏怖の念を禁じることができないような一次的影響から、
民俗学的に派生していく悲嘆的な領域までを創出しているようです。
そして悲嘆、或いは終末を一巡してくる終曲、思わず感嘆の息を漏らします。
ポストメタルちっくな静動の対比も素晴らしく最高です。

10
6. Abyssal / Antikatastaseis
(UK/3rd/Profound Lore Records/ブラック/デス)

元はデスドゥーム寄りのブラックメタルだったと記憶していますが、
本作ではアトモスフェリックなブラッケンドデスになっています。
ただデスドゥーム由来、若しくはコズミックなブラックメタルにある、
大きな部分での展開の上手さも感ぜられ、霊的なアトモスフィア中での
ファストな動きを伴って織り成されるメロウさの活きた展開美、
その叙情的な闇の趣きが琴線に触れました。

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7. Chelsea Wolfe / Abyss
(US/6th/Sargent House/エクスペリメンタル/ドゥーム/ネオフォーク)

エクスペリメンタルドゥームの重みの中、気鬱な女性が儚く揺蕩う作品。
音楽において精神病予備軍的と言ったような形容句の代物はままあるモノですが、
本作は、その重みと嫋かさの共存する精神の発色が、そのままあるものに於ける芸術性の萌芽を思わせます。
アートワークに消失したい願望が起現しているように、概ね不健全な精神の賜物なのですが、
その内実としての、ちらちらとうつろげに広がるアンチワールドな空気感が、淡々と過ぎ行く都会的な情景と併せ重く沈むことにより、
聴き手に対して、死の欲動と、薄幸の美少女的な憂愁、またその官能美を誘起させるのです。

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8. Lychgate / An Antidote for the Glass Pill
(UK/2nd/Blood Music/アヴァンギャルド/ブラック)

EsotericのヴォーカルやMacabre Omenのドラマーの居るバンドとして知られるLychgate。
音像としては、アヴァンギャルドの奇特な匂いが漂うブラックメタルで、
ただの古びたシャトーが、かつて紳士淑女の容物として機能していた時代のオブスキュアな空気感と、
シチュエーションとしての奇譚展覧会みたいな雰囲気が良く、
またこの手のジャンルとしては間延びもしていなく質実な作風の為、
いと聴きやすく、そのわかり易い良さが素敵。

7
9. Trial / Vessel
(スウェーデン/2nd/High Roller Records/正統派)

ミスティック&ダークな正統派メタル作品。
その雰囲気に知的かつ劇的な展開や、voの高い歌唱力が合いまうことにより、
単なるマーシフルフェイト系のリバイバル精神では終わっていないと思わせる説得力を発動していて、
芸術性で勝負しがちな昨今のメタル界隈でも、活き活きと胸に響き渡る一撃を与えてくれます。
詳しくはグリ友さんが書いたであろうamazonレビューをご覧頂きたい!!!

6
10.
(UK/2nd/Willowtip Records/デス)

Sarpanitumです。
再始動前はNile系のデスメタルを聴かせていましたが、
再始動後のこの音はエピックデスメタルと言える音像で、
ImmorationやHate Eternalの技巧的なデスメタルに煌びやかな叙情性が寄り添い、
1349系の凛としたファストさで研磨されていて、激烈に畳み掛けます。
音像の岐路に立ちながらも、00年代的デスメタルのトラディショナルを忘れない音楽愛と、
やはりその音像を上手く昇華している点が好ましく。

3
11. Cruciamentum / Charnel Passages
(UK/1st/Profound Lore Records/デス)

Grave Miasmaのメンバーやら、Nadja界隈でのスラッヂメタルバンドAtavistのギタリストにして元Winterfyllethのギタリスト(がベースで参加)で構成されているCruciamentumです。
むじかほブログさんが紹介されていましたので
詳しくはそちらをご覧いただきたく存じますが、私的にも特段に好ましい音を放っていて、
IncantationやBolt Thrower系の汚辱感や暴動性に、
Dead Congregationのような時流のオールドスクール的良さがあり。
終曲にはEvoken系列のコズミックな妖しさも感じさせます。
この作品を構築する総てのとんでもなさに恍惚。

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12.
(US/1st/Century Media Records/プログレッシブ/ドゥーム/アヴァンギャルド)

巷ではオカルトデスメタルと言われている作品で、
その言葉が想起させるところの、オカルトの音楽史に於ける、
ディストーションの可能性を拡張したといっても過言ではない歴史的な代物と言える
と思うのですが、世間的な評価は芳しくなく私の勘違いなんですかね。
得てして新しいデスメタルというのは中々受け入れられないものなのでしょうね。

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13. Paradise Lost / The Plague Within
(UK/14th/Century Media Records/ゴシック/デス/ドゥーム)

ここに来て90年代回帰のParadise Lostですが、
昨年のTriptykonやThouやYobやEarthに目されるような、
ちょっとだけ女声入ってる芸術的ドゥーム界隈の流れも汲まれていると言いたい作風です。
聴いた刹那にParadise Lostと判るような、ゴシックのゴシック足らしめる幽玄な叙情性と重厚なデスメタルの動性がヴァニタス画的哀感の中で繊細に紡がれていて、人々に感動を与えるように、強く胸に響き渡ります。
ウッ!氏が名盤出した後は、やはり派生した暗い重みからも続々出てくるようで。

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14.
(US/2nd/Profound Lore Records/ポスト/エクスペリメンタル/ブラック)

KralliceのGtやBlut aus NordのVo(ドラムプログラミングで)を、
ゲストに迎えたポストエクスペリメンタルで、
ポストブラックの退廃的な空気感とサイケデリックな歌唱が反駁することにより、
欝屈と独自のシュールレアリズムを導いていて、
聴けば、気詰まりの自己内的な深遠なる世界を垣間見ることができます。

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15. Author & Punisher / Melk En Honing
(US/4th/Housecore Records/インダストリアル/ドゥーム)

スゲー重たい音の出る自作ドラムマシンで話題のプロジェクトで、
音としてもそのリズムセクションを活かした、重く引き摺るような、
退廃的かつダウナーにして、インダストリアル気味な音像なのですが、
アルバム全体に於けるアンチネイチャーと、
準ネイチャーの深い趣による対比の構築美が素敵です。

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16. Desolate Shrine / The Heart of the Netherworld
(フィンランド/3rd/Dark Descent Records/ブラック/デス)

例えばDeathspell OmegaのMikko Aspa氏の音楽論を、このバンド向けに一部抜粋し改変すると、
「このバンドはデス/ドゥームのプレイパターンを、純然たる混沌の裡から突然引っ張り出してきて、非常に稀有で終末主義的なスタイルを踏襲している」ということになり、
このDesolate Shrineと言うバンドは、音像への類型解釈の結果として、そういった認識を持つ音楽に対する高い批評性を持った、先進的アーティストから影響を受けているバンド、
またその「」内での立体的体験的先進的暗黒譚を展開するバンドと言えます。
昨今の知的なブラック/ドゥーム、或いは初期のMy Dying Bride等を彷彿とさせる異能っぷりや陰鬱さが、
影響元である不協和の中でめくるめく暴動を起こす本作は、
何か憑かれたように延々と聴いていたく、そしてやはり私個人的な話にしても、
そう思わせる訴求力があるのでした。

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17. Nibiru / Padmalotus
(イタリア/3rd/Argonauta Records/サイケデリック/ドゥーム/ドローン)

密教的かつ蛮族的なドローンドゥームという一言で片付いてしまうのですが
知的っぽいことをやっているのに「そう」なっちゃう不器用さが面白く、
猿にレーザービーム持たせたみたいな危うさが好きですし、
時折ナクトミスティアムみたいな慟哭感を感じさせるのがもっと好きです。

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18.
(スウェーデン/3rd/Century Media Records/プログレッシブデス/ブラック)

ブラッケンロール化したスウェディッシュデスメタルバンドということで、
今回は、全体的にタメの効いたノリの良い音で構築されています。
Ghostと同種のノスタルジーかつシネマティックな良さもあり。
毎作作風が違うんですが、どれも概ね高評価なのは凄いポテンシャルですな。もぐもぐ。

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19. Talv / Üksildus
(イタリア/2nd/Misanthropia Records/デプレッシブブラック)

基本的にはBurzum直系と言えるミニマムなDSBMなのですが、
プリミティブというよりかは、歪んだアルペジオがドンシャリなドラミングに絡みつく欝屈としたサウンドであって、
基本をなぞっただけの作品ではなく、鬱蒼と佇む樹海の木々を掻き分け進むかの如く、微妙に展開されています。
総じて陰性の深淵に浸かることができるのですが、終曲に主人公は希望を見出すのかもしれません。
闇が深い程夜明けは近いのでしょう。
一時期Lineのアイコンにするくらいツボでした。

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20. My Dying Bride / Feel the Misery
(UK/13th/Peaceville Records/デスドゥーム/ゴシック)

ここ数年ボーカルの表現力が高まって久しい彼ら、
本作もそのボーカルワークを主軸として語り出される代物となっていて、
暗黒と耽美のオリジンとも言える、格調高き孤独感をアップデートしています。
意外にも希望のある#1から徐々にトーンダウンする対比の展開が、逆説的に俗っぽさを生み出してしまっている気がしないでもないですが、
見方を変えればブリティッシュロックの素養とも受け取れる歌唱が物珍しい13th。

それではまた、
ご閲覧頂きありがとうございました。