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Vastum / Patricidal Lust (2013)

USはサンフランシスコのドゥームデスメタルバンドによる2ndフルアルバム。
ドゥーム/デスメタル界隈を専門的に取り扱う20 Buck Spinからリリースされた。

2013年のデスメタル界隈といえば、UlcerateやPortalやDefeated SanityやらFleshgod ApocalypseやImmolationやらAutopsy等の超高品質作品らが軒を連ねる中で、
GorgutsやGiganやExtolやらTribulation等が超先進的なスタイルで評価され、とどめの一撃とも言うべきCarcassの大復活もあり、非常に賑わっていた訳なのだが
その陰に隠れてこのVastumも、忘れがたい名作を発表している。

Vastumは、Southern Lordに所属するクラストデスメタルバンドAcephalixのサイドプロジェクト的なバンドである。
メンバーの中には、AgallochやYOBのメンバーで構成されたUSブラックメタルバンドVhöl、
そのVhölのメンバーが在籍するUSプログレッシブメタルバンドHammers of MisfortuneでのGt,Vo、Leila Abdul-Rauf女史も在籍していて、デス声で分り難いが男女ツインボーカルというのが特筆すべき点だろう。
また、活動は2009年からで、所謂に類するオールドスクールデスメタルリバイバル一派のバンドとして活動している。

そのVastum、音楽性としては、Coffinsスタイルのドゥームデスメタルというのが断定的な見方だが、
よく聞けば、AutopsyとIncantationの折衷的音像でもあり、近年のGrave的でもある、瘴気の濃厚な鈍重パートと暴動性溢れるミドルテンポの反復するリズムセクションと、
「ささくれだった」「牙を剥くような」といった表現が似つかわしい排他的旋律によって構築される、Bolt Thrower系列の暴殺も彷彿とさせるようなストロングスタイルでのドゥームデスメタルである。

目下に魑魅魍魎が這い回るような汚辱感と、それをより一層濃厚にせんとして瘴気を放出するボーカルワークは正にCoffins的といった所であるが、
忘れがたい名作足らしめる所以としては、その完成度の高さにある。
ファストパートのファニーな暴虐性と、そこから自然な流れで遅いパートに移行していき意識的に破滅的なサウンドスケープを映し出す技法、そして闇の踊り狂う異形の旋律、
Coffinsは勿論のこと、元を辿ればAutopsyから派生してきたような、曲展開中での微細な緩急のつけ方、その構築力、その聴かせ方が非常に巧く、全体として弛れを感じさせない。
つまり、脱構築としてドゥームデスの様式美とモダンな芸術性を兼ね備えた、別次元のVastumの音像へと昇華してきているのだ。

また、この父殺しの欲求といったタイトルの本作、おどろおどろしさや惨憺の情念を突き詰めることによって、作中の随所に配されたファニー感が、暴虐性にすら感ぜられてしまうその忘れがたさたるや、
音像へ圧倒的に充満された破壊のカタルシスが、対外的な死への欲動を誘起させる所為だろう。

そんなバタイユ哲学も内包したドゥームデスの脱構築的本作は、Inquisition一連の再発ジャケを手掛けたPaolo Girardi氏によるインモラルなアートワークも相まって、やはり、しこたま素晴らしい作品に仕上がっている!!!!!!!!!!!!!!!!!!

曲目は、

1. Seasons in the Claustrum (The Libidinal Spring)  06:08 
2. Enigma of Disgust  07:10 
3. 3 A.M. in Agony  04:53
4. Incel  06:39
5. Patricidal Lust  05:30
6. Repulsive Arousal  06:52 

Total  37:12  

#2はyoutubeにリンクしてあります。