Mantar / Death By Burning (2014)
ドイツはハンブルグのスラッジメタルデュオによる1stフルアルバム。
フィンランドにてドゥーム/デス/エクスペリメンタルを取り扱うSvart Recordsからリリースされた。
Gt,VoのHanno氏とDr,VoのErinc氏からなるプロジェクトで、
KyussにEyehategodのシックネスを被せたような音楽性である。
この編成にベースが入っていればBlack Tuskみたいになるかもしれないし、全く別の音になるかもしれない。
音楽性を掘り下げれば、ダイナミックで煙たく、またその中で仄かにUS西海岸テイストを匂わせるバッキングがあり、
その上で憎悪系のボーカルが、時に呻くように時に吐き出すように時に語るようにして、カオスを振り撒いている。
俯瞰的に見やれば、ダウナーに染まり切らない不安定な音像が、人間の猥雑な情念を韜晦するように、
何かの新しい表現としての原初的な意味を獲得しているように思う。
それは人が音に触れた瞬間に起こり得るものと類似していて、深い意味はないが恣意的なものでもない、
そして何かを伝えるものでもなければ、欺瞞や独善に染まっているわけでもない。
明るい道を歩いていても心はノイジーであり、脳内に映し出された産業廃棄物の山の上に蹲る痩せた子供は、天上的なものへの執意に駆り立てられるわけで、
畢竟ここには、現実と乖離した本能や直感的な反応としての深い業が起源しているのである。
アルバムタイトルを直訳すれば炎による死、或いは火刑になるのだが、
そこまで蛮族的でも轟音的でもないように感ぜられる作風は、多くの憎悪系のドゥームメタルバンドが漂わせるインテリジェンスの作用している所為であるかは謎だが、
本作ではそれが端的にトロイの木馬的な欺瞞性を覚える、スラッジメタルアルバムとして質実に仕上がっている。
中でもダイナミズム溢れるドラミングの歌心が心地良いし、ギターワークに関しても多少線が細いところがあるが、多彩なギターリフは単純に聴いてて楽しいぞ。
また、#3のインストゥルメンタルにはNewstedのストレートな泥臭さがあったりもするので、オーセンティックなところに関心がある方にも是非聞いて欲しい。
なんといっても現在の彼らは、Nuclear Blast Recordsと契約して4月に新作を控えているのだから。
曲目は、
1. Spit 04:53
2. Cult Witness 04:35
3. Astral Kannibal 04:25
4. Into the Golden Abyss 03:43
5. Swinging the Eclipse 04:01
6. The Berserker's Path 02:28
7. The Huntsmen 03:54
8. The Stoning 02:52
9. White Nights 05:48
10. March of the Crows 07:47
Total 44:26
#9はyoutubeにリンクしてあります。
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