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これは我が生涯のベスト的Death Metal の100選です。

突然ですが、私が愛するデスメタル作品を100枚ほど選出させていただきました。
この界隈を掘り下げ始めた18歳の私から22歳の私までの一貫したデスメタルへの盲目的な愛情の結実であって、選出としては初期デスとそこから派生した技巧的なものたち、そして再興とアンダーグラウンドに焦点を当てております。趣味的な選出で中々狭いです。1バンド1枚。
見ていただくと若干独断的で独善的かつ気恥ずかしさの濃厚な雰囲気に包まれるかもしれませんが、とりあえず作ったんでよろしくお願いいたします。ジャケットはyoutubeにリンクしてあります。DIES IRAEさんのところみたいに。

A~Z順で

ジャケット
アーティスト/タイトル
(国/発表年/作数/レーベル)
所感

それでは、あしからず。


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Atheist / Unquestionable Presence (US/1991/2nd/Active Records)
デスメタルに於いてジャズのエッセンスを直接的に取り入れた先駆者がAtheistである。
作数を重ねるごとによりジャズのグルーヴに塗れていくディスコグラフィー中で本作は、まだスラッシュメタルの研磨性が生きており、
やはり何度聴いても、緻密且つ甘美なギターワークや小気味の良いリズムセクションやら悶絶するボーカルワークやら起伏に富んだ楽曲の構築力等々、
どれをとっても感嘆モノなのだ。バンドは94年に解散後、06年に復活、10年にはアルバムをリリースしており、現在も新曲を作っている現役だ。

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Anata / The Conductor's Departure  (スウェーデン/2006/4th/Earache Records)
00年代のテクニカルデスメタル勢はその活動の一端として、Suffocation以降のデスメタルの緻密さを極限まで突き詰めた。その中でもAnataは、ObscuraやAuguryに類する幽玄なフレーズのベースワークと、SF的世界観を有するバンド。
Anataのオリジナリティは、単音リフに依存しグラインドしてくるブルータリティで、それが動或は醜を演出することにより、幽玄な中低音や流麗なギターソロとの対比の構築美をどろどろと導き出すところではないだろうか。
なおバンド自体は、2008年にgt,voが脱退して以来音沙汰がない。
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Augury / Fragmentary Evidence (カナダ/2009/2nd/Nuclear Blast Records)
テクニカルプログレッシブデスメタルという音楽形式の中でデスコアに依存せずタメを効かせるという、
以外に難しい妙技をやってのける数少ないバンド、単音リフによる技巧的なギターワークを、技巧的なベースで律するQuo Vadis型の、宇宙的に壮大なサウンドスケープは、
デス声の掛け合いや、メロパワみたいに勇壮な歌唱や、終盤で唯一登場するフィーメイルボイスといった、様々なアプローチによって微細に描かれていく創造的な良さがある、

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Autopsy / Mental Funeral (US/1991/2nd/Peaceville Records)
スラッシュメタルをより速く重く攻撃的にしたのが源流としてあるフロリダのデスメタルだが、
ObituaryのCause Of Deathを境に、展開力や精神思想的な面で聴かせ方が変わりゆく、
その中でも本作の、ドゥームメタルからの影響をベースに、劇的に展開されるスタイルは、
後続たちに多大なる影響を与え、
今もこのデスメタル界隈では、いたるところで土葬された屍体が放つ猛臭が漂っているという訳だ。
しかし、そんな歴史的価値を度外視しても存分に楽しめる展開の巧さに中毒するのが本作なのだ。

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Baphomet / The Dead Shall Inherit (US/1992/2nd/Peaceville Records)
USアンダーグラウンドは、デスメタルの重さに注目し、その凄惨な歪を蝶に変えていた。
このBaphometも、同じNYのMorpheus Descendsや、
同国のアンダーグラウンド、RottrevoreやIncantation等と並び、ウルトラヘビィなデスメタルを聴かせるバンド。
当時はグラインドコアの潮流も強かったが、そのノイジーな所だけを抽出し煮詰めたような重たいスタイルは局地的に話題になった。
フィンランドやメキシコ等、こういった音楽スタイルのシンジケートは各国点々とあったものの、
デスメタルの世間的なカルチャーイメージを大きく変えられなかったのは残念。ただ、アンダーグラウンドでは年々機運が高まっており、
このバンドに関しても、本作を発表後Banishedに改名しフルアルバムを一枚残し直ぐに解散したが、2013年には復活し、現在もライブ等活動を行っている。
本作は、ギターソロ等の派手な因子がない為にRottrevore等と比べれば聴きやすさの点では劣るが、
その分凄惨な重みで窒息してしまう程の緊張感に塗れることができる名作だ。

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Benediction / Grind Bastard (UK/1998/5th/Nuclear Blast Records)
UKデスメタル特有の、グラインドコア/ハードコアとの共振もあるサウンドは、
このBenedictionの手にかかれば、Malevolent CreationやSinisterなどに見られる王道のオールドスクールデスメタルへの批評性が高いサウンドとなる。
勢いありきのサウンドではなく全盛期とも言うべき初期Malevolent Creationや、ObituaryやEntombed等の発展的な構築力も感じさせるのが巧さ。
本質的な作品の解釈としてこれは、フガフガモゴモゴしないBenedictionのモダンヘビィネスが味わえる歴史の一次的音像であり、
タフというよりかは、マッチョ気味な音であり、何よりもミステリアスなジャケットが気になり買ってしまうことだろう。

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Bombs Of Hades / Atomic Temples (スウェーデン/2014/3rd/War Anthem Records)
God Macabreの首謀者が2002年に結成したバンド。
EntombedにBolt Throwerの暴動感を足したような激昂サウンドは、
ノリの良いロック色に支えられており、日本ではSNS等を見る限りカルトでオーセンティックなメタルを好む賢人方にも気に入られている。
野太く歪ませたギタートーン、パンキッシュなビート感、ロケンローなビート感、マッドネスな2バス、イカしたギターフレーズ、Cathedralに目されるようなプログレの素養を感じる11分超えの大曲、胡散臭いSEといったこれ以上何もいらないスウェディッシュデスは、主観として本当にこれ以上何もいらないくらいの、普遍的なギターミュージックとしてすら褒め称え得る良さがある。

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Beyond Creation / The Aura (カナダ/2011/1st/PRC Music/Season of Mist)
00年代半ばにQuo Vadisが端を発したフレットレスベースの音色美しい系デスメタルの中で、
ここまで生真面目な音を鳴らすのは、Beyond Creationのほかならない、
圧倒的技巧力を持つベーシストの裏打ちによって織り成される、この知的な音像は、
1stの時点で非常に完成度が高く、タッピングを用いた流麗なギターソロや、叙情的なギター/ベースのリフレイン、デス声の掛け合い、
静動の対比からなる大胆な楽曲の展開美等、先進的なデスメタルとして非常に充実していた。

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Black Breath / Heavy Breathing (US/2010/1st/Southern Lord Recordings)
00年代中盤以降、スウェディッシュデスの再興が一つのキーワードとなっている昨今のデスメタル界隈だが、
その最左翼と言えるのが、Entombedの音像を脱構築し、クラストデスメタルというジャンルを提示したBlack Breath、並びにそのクラストデスメタル群ではないだろうか。
Kurt Ballou氏によりレコーディングされたどこどこどかどか暴動するこの音像は、Southern Lordのレーベルカラーとも言える起伏、そのダイナミズムを兼ねて、怒りの礫ををぶち込む。
一見フツーなバンドロゴもWatainのErik Danielsson氏がデザインしていたりと、
各界の恩恵を賜っているこの概観は、何よりイカしている。

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Bloodbath /Nightmares Made Flesh (スウェーデン/2004/2nd/Century Media Records)
デスラッシュ一歩手前の攻撃的なスウェディッシュデスメタルバンドがBloodbath。
参加メンバーも当時大いに話題を呼び、
WitcheryのDrums 、Dan SwanoとKatatoniaのAnders "Blakkheim" Nystrom氏によるGt、
同じくKatatoniaのJonas Renkse氏によるBass、HypocrisyのPeter Tagtgren氏によるVoが濃密に絡み合う一級のデスメタルサウンドは、
研磨性とお国柄のビート感が上手く噛み合わさって、鋭い聴き心地に塗れている。
絶対に聴いておきたい00年代の暗黒譚の一つである。

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Blood Of Christ / Breeding Chaos (カナダ/1997/1st/Pulverizer Records/CDN Records)
カナダのアヴァンギャルドデスメタルバンドの1st。
アンチキリストの思想を以って混沌とした背徳美を映し出すサウンドで、
Demilichを髣髴とさせるシックネスなタメが渋い、
要所にアコースティックパートやチェロの音色を用いる転調の多い作風は後の作品で、
クリーンヴォーカルとブラストビートをも取り込んだスタイルに深化し、
Mithrasや初期のAkercockeとも共振するアヴァンギャルドな陰性を発露している、
93年から活動し3枚の陰性のフルアルバムを発表後、2006年に解散した。

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Bolt Thrower / The IVth Crusade (UK/1992/4th/Earache Records)
グラインドコアの潮流から這い出てきて、デスメタルにブラストビートを用いた先駆者で
そのグラインドコアとの共振的サウンドは、そのままUKデスメタルの特質となっていく。
4thとなる本作は一貫して暗黒的な雰囲気重視の作品となっていて、
延々と続けられる2バスが生み出す、軍神のブルータリティに孕む暴動性と死の瘴気の共存に陶酔を覚える。
2016年から後追って聞いていると、彼らはデスメタルにブラストビートを用いた先駆者だけではなく、混沌としたブラッケンドデスのスケール感や、
昨今のオールドスクールデスの細かな差異として重要な部分であるタメの効かせた速さやらの、
あらゆるジャンルのエクストリーム性を内包していたという重要な点を再認識することができる。

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Brain Drill / Quantum Catastrophe (US/2010/2nd/Metal Blade Records)
デスメタルの歴史の中でも、ここまで音数の多いデスメタルはないだろう。
ブルータルなドラミングの一打一打に執拗に単音をかぶせてくる音像は時にファニーな感覚を孕み、
時に聡明な暴虐性を発散し、聴く者を楽しませる。音数が多すぎて無心にもなる。
一時期ドラマーが不在で半活動休止状態だったが、15年にドラマーを加入させており、
現在は新作を製作中とのこと。

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Brujeria / Brujerizmo (メキシコ/2000/3rd/Roadrunner Records)
当時正体不明のテロリストを装っていたが、
これはNapalm DeathやCarcassやCradle of FilthやFear Factoryのメンバーが結集した覆面バンド。
90年代初頭の2大潮流とも言うべきデスメタルとグラインドコアを折衷させたスタイルは、
デスメタル界のSOBと称されるほどだったが、徐々にモダンヘビィネス寄りの音づくりへ変わっていく、
3作目となる本作で聞けるのは、正確無比でタイトなリズムとファニーな暴虐性のある音像で、
スペイン語でコミカルに吐き出される残虐な歌詞もキマっていてやはり充実している。
各々にしても、おふざけで終わらせるには惜しかった便利なはけ口だったのだろう。
なお、今現在もメンバーは不明だが活動中である。

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Cadaver / ...In Pains (ノルウェイ/1992/2nd/Earache Records)
ノルウェイのデスメタルというのはなんなのかといえば、
Darkthroneの1stとこの...In Painsに大多数の意見は集約されるだろうと思う。
Coronar/Grinより早かったこのシステマティックなスタイルでのデスメタルは、少し暴虐性を欠くところがあるものの、
コミカルに動くリズムセクションは先進的で、ダブルベース(座って構えるでかいやつ)を用いて多様な奏法を行うベースワークは強烈。
そんなリスナーに愛される隠れ名バンドの名作2ndである。

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Cannibal Corpse / Tomb Of The Mutilated (US/1992/3rd/Metal Blade Records)
00年代初頭から半ばまで大抵エクストリームメタルの箔にはCannibal Corpse の陰がチラついていたし、
実際デスメタルの関係ないバンドにもCannibal Corpseからの影響が窺えるのはある。
有識者的にはThe Bleedingだし、ジャケット的には死のエロティシズム漂うButchered At Birthだろうが、
何よりも、ブルータルな音楽の代名詞とも言えるHammer Smashed Face、
大抵のコピーバンドが1曲目で披露するHammer Smashed Faceの収録されている本作こそが、
Cannibal Corpseを象徴する一作なのだ。

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Carcass / Necroticism - Descanting The Insalubrious (UK/1991/3rd/Earache Records)
Carcassはどのアルバムにしろ比類なき何かしらの良さを持っているが、
その中でももっとも当時のデスメタルの潮流とリンクした比類なき作品としては、
マイケルアモット加入後初作品となる、未だメロデスを創出する以前の音が内包された本作であろうと思う。
曲中に挟まれるSEがシネマティックな展開美を誘起させる裡での緻密に練られた構築力が、
当時のこのジャンルにはあまりなかった聴かせる意図の伝わる作風は、
何より当時のデスメタルとして斬新であり、今ではビターだ。

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Cattle Decapitation /Monolith Of Inhumanity (US/2012/6th/Metal Blade Records)
この前作でCarcassのフォロワーでLucastのサイドプロジェクトというパブリックイメージを一新し、
本作にて更にゲロとかサイバーパンクとかSFとか色々ぶっこんで科学のチカラで超人化したCattle Decapitationの名作。
全編に渡ってデスグラインドの可能性を拡張していく高揚感とグロウルと気違いクリーンからなるシネマティックな展開力に脱帽だ!

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The Chasm / Farseeing the Paranormal Abysm (メキシコ/2009/7th/Lux Inframundis Productions)
メキシコのデスメタルでは黎明期から活動を続けている代表的なバンド、
バンドの音楽変遷上で同郷のCenotaphの後を追うように徐々にメロウな作風にシフトしていく中で7作目となる本作は、
緻密なスラッシュリフによるクラシック(オーケストラ)といったような音像を提示しており、
ドラマティックで先進的なデスメタルとして堂に入っている。重厚な躍動感が脈打つ名作が本作なのだ。

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Cenotaph / The Gloomy Reflection Of Our Hidden Sorrows  (メキシコ/1992/1st/Horus Productions)
https://chaos-records.bandcamp.com/album/the-gloomy-reflection-of-our-hidden-sorrows
メキシコのデスメタルを象徴する一作にして、初期デスメタルの伝説的カルト名盤。
内実としては、Demilichを髣髴とさせる異端サウンドでありながら、シンセサイザーが用いられた陰鬱な展開なんかは、後にIncantationが開陳するデスドゥームの暗黒面とも共振している。
タメの効いたデスメタルが精神疾患的な陰惨で横溢するような、アンダーグラウンドデスの結晶的なサウンドなのだ。
次の作品ではメロデス的なスタイルとなるため、本作の音像が瞬間的な爆発で終わったのが残念でならない。

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Cianide / A Descent Into Hell (US/1994/2nd/Red Light Records)
近年過去作の再発等により再評価の機運が高まっているCianide、88年から暗黒界を漂流し続ける重鎮だが
本作はケルティックフロストがデスメタルのオリジネーターであるのをその身で体現するかのような、
鈍重たる汚辱の、霧の中を彷徨うようなデスメタル。
この起伏に乏しい渋い作風は、徐々に毒されるように聴きたくなってくる。
#4ではドゥームメタルサイドのリフも聴けるので、Saint Vitus等からの影響もあるかもしれない。

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Comecon / Converging Conspiracies (スウェーデン/1993/2nd/Century Media Records)
スウェディッシュデスの中で技巧力や研磨性を追い求めた奇特なバンドで、
アーティレリー影響下とも言うべき、北欧テクニカルスラッシュの派生したデスメタルを聴かせるのがComecon。
Pestilence系列のヒリヒリとした質感がプログレッシブな展開力に覆われている本作は、
隠れ名盤に似つかわしい隠れステージ風アートワークも相まって、是非とも所持しておきたいマニア向けの一作になっている。
中近東を彷彿とさせないシタールの使い方や、最終曲の8Bit風デスメタルは今聴いても新しい。

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Convulse / World Without God (フィンランド/1991/1st/Thrash Records)
DemilichとDemigodと三竦みで、フィンランドデスを象徴するデスメタルバンドがConvulse。
タメの効いた退廃的なサウンドスケープは、ジャズの技法を取り入れたDemilichの地獄感とは異なっており、
スウェディッシュデスやハードコア由来のストレートで病的なタメが、サウンド全体を寒々とした寂寞感で包み込み、退廃的で沈鬱な雰囲気を漂わせる。
94年に活動停止した後、ちょくちょく再始動していて、2010年にRelapseが本作を再発してからは特に機運が高まっており、
12年にSvart Recordsと契約して以降は、新作を発表するなど精力的に活動している。

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Cryptopsy / None So Vile (カナダ/1996/2nd/Wrong Again Records)
90年代中盤以降のデスメタルへ最も技巧的で暴虐性溢れる方向性を提示した名盤。
デスボイスというのはメロディではなくリズムを際立たせるための技術であるようだが、
ロードワーム氏の歌唱を聞けば、それを放棄していることが分かる。
更にフロ・モーニエ氏の激烈なドラミングと、緻密なギターワークが互いに反響しあい、
知的なアヴァンギャルドの様相を浮かべるテクニカルデスのスタイルを確立したのが本作なのである。

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Cynic / Focus (US/1993/1st/Roadrunner Records)
フュージョンへの高い批評性を以てしてデスメタルに革命を齎したCynic、
アトモスフェリックなスラッシュリフによる推進力とおっとりとした幽幻的展開が反復する、
この幻想的な音像は後続達へ多大なる影響を与え、00年代のバンドがクソほど取り入れ神格化されて、
昨今のデスメタル界隈にはアトモスフェリックデスなるジャンルも確立されつつある。
96年に解散後06年に再結成されよりプログレ的な方向に推し進み15年に再度解散した。

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Dark Millennium / Ashore the Celestial Burden (ドイツ/1992/1st/Massacre Records)
Cynicとほぼ同時期に幻想的なデスメタルを展開しながらにして、
ドイツでいち早く重たいデスメタルを実践した彼ら、
フューネラルドゥームサイドへ続いていくような、目下に溶岩隧道的情景の広がる奇絶な音像には、
SadistやThe Chasmを彷彿とさせるところも。16年に再結成している。

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Dead Congregation / Promulgation of the Fall (ギリシャ/2014/2nd/Martyrdoom Productions/Profound Lore Records)
Nuclear Winter Recordsのオーナーにして、
暗黒オールドスクールデスのネクロマンサーがDead Congregationであり、
その2作目となる本作は、蘇らせるだけではなくドラマティックに再構築すら・・・!!!

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Derketa /In Death We Meet (US/2012/1st/Independent)
元祖フィーメールドゥームデスカルトDerketaは、その存在自体が奇跡みたいなものである。
メンバー4人全てが女性であり、やってる音楽がドゥームデスというこの超稀少性異分子は、Mythicと並び、
CianideやGoatlordの様式とも言うべきトラディショナルドゥーム影響下での陰鬱なサウンドを以てして、
ズブズブと汚泥に沈んでいくような、ドゥームデスの王道的サウンドスケープを繰り広げる。
この音楽性で昨今のアンダーグラウンドデスメタルシーンに殴り込みをかけてきた彼女らは、
何よりも女性という旨みの一切を排斥した硬派なサウンドが、その完成度の高さを決定づけている。

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Death / Individual Thought Patterns (US/1993/5th/Relativity/Roadrunner Records)
デスメタルのオリジンがこのバンドの87年に発表した1stであるというのは周知の事実であろうと思うが、
ドラスティックに変容した本作でのテクニカルなデスメタルの様式も、
そのクリエイターが実践までしたことであるのなら、純然たるデスメタルの祭壇に、何食わぬ顔で鎮座していても我々は何も言うことができない。
00年代から10年代序盤までに顕著なテクニカル至上主義も、本作を介すれば、敬虔な死と暗黒の歴史に刻まれて然るべき一つの必然の流れなのだ。

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Deathevokation / The Chalice of Ages (US/2007/1st/Xtreem Music)
スウェディッシュデスのUSフォロワーとして名作を一つ残し消えたバンドがDeathevokation。
Dismemberの曲名からバンド名を頂いたその幽玄なサウンドは、
近年のThe Chasmと同じように緻密なスラッシュリフによるクラシック(オーケストラ)といったような多次元的で壮大な音像を提示している。
その中でキラリと光るメロディーはやはりといったところで、ドラミングの歌心も相まってやはり名盤だ。

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Decapitated / Winds Of Creation (ポーランド/2000/1st/Wicked World Records)
Vaderに続くポリッシュデスメタルの担い手Decapitated。07年のツアー中、バス事故に遭いバンドのドラマーを失う悲劇のバンドだが、
バンドの音楽変遷上での当初の音像におけるテクニカル志向は、90年代後半の行き詰まったフガフガもごもごデスメタルへの道しるべとなり
Nileと共に00年代デスメタルの方向性を端的に指し示している。

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Defeated Sanity / Passages Into Deformity (US/2013/4th/Willowtip Records)
Disgorge的ブルデスの王道を踏襲し、Suffocation的緻密さを以てして畳み掛けるバンドがDefeated Sanityである。
そう聞くと最強のテクニカルブルータルデスメタルかと勘繰ってしまうものだが、
それもあながち間違いではなく、テクニカルな素養にはジャズの仕組みも組み込まれ緩急もしっかりとしており、
終始同じような音程にも関わらず中だるみは皆無。
音楽理論上ではCryptopsy傘下のWormedにも近しいものの、
カンカンドラムや圧倒的閉塞感が構築する、
修羅の道の踏襲がアンダーグラウンドな良さを導き出している。

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Deicide / The Stench of Redemption (US/2006/8th/Earache Records)
イーヴルで緻密なスラッシュリフと、直接的なアンチクライスト精神がDeicideを支配しているのだが、ラルフサントーラ加入の本作には別の趣がある。
スラッシュメタルリバイバルと交叉した時系列での本作は、
濃密な諸デス要素の中に、東洋性の漂うスケール感も盛り込まれており、
酷く聴きやすい派手なエクストリームデスメタルを展開している。
無論デスメタルにおいてのアンチキリスト精神の礎を築いた歴史的名盤としては90年代序盤の作品がおなじみだったりするのだが。
00年代でのこのレジェンドの現役ぶりは、リスナーに衝撃を与えた。33歳になったグレンベントンが死ななかったのも衝撃を与えた。

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Demilich / Nespithe (フィンランド/1993/1st/Necropolis Records)
フィンランドデスを象徴する一作にして、初期デスメタル異端中の異端。
フュージョンの素養を感じさせるドラミングによって織り成される空間的なアプローチは、
おどろおどろしいデスメタルの様式の中で、病的なガテラルボイスや、キュンキュン鳴らすGorgutsを先取したギターワークによって充足され、
同じ時系列にいたSentencedやConvuls等とはまったく違う、焦熱するような地獄の瘴気を噴出している。

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Demigod / Slumber of Sullen Eyes (フィンランド/1993/1st/Necropolis Records)
https://metalhit.bandcamp.com/album/slumber-of-sullen-eyes-2
フィンランドデス版Cause Of Deathと言える程、
フィンランデスメタルを形成する病的な諸要素が、Cause Of Deathを彷彿とさせる優れた楽曲の構築力の上で踊る大名盤。
先ずイントロがコンヴァルスのようなファンタジーで、その後に繰り広げられるは、
病的なまでに歪ませたギタートーンによる取り憑かれたようなリフ、ズシズシとしたタメの強いリズムセクションに、
圧倒的陰性のグロウルを吐き出すヴォーカルワークからなる、Demilichや初期SentencedやAdramelech等が脳裏を過るフィンランドデスの伝統芸そのもので、
これは言うなれば、ひとつの国の潮流を本作一枚で十二分に味わうことが出来るといっても過言ではない代物なのだ。
なお、後にモダンでスラッシーな作風になる。

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diSEMBOWELMENT / Transcendence Into The Peripheral (オーストラリア/1993/1st/Relapse Records)
ブルータルなフューネラルドゥームの開祖として誉れ高いdiSEMBOWELMENT。
ケルティックフロスト影響下のWinter的陰鬱さとはまた違った、
暴虐性と幻想性と圧倒的陰性に塗れた重みの共存が味わい深い。
バンドの唯一作にしてデスメタル界に燦然と輝ける暗黒盤だ。

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Diskord / Doomscapes (ノルウェイ/2007/1st/Edgerunner Music)
Cadaverをクラシックとしての脱構築がDiskord。
Cadaverをフュージョン化したような音像は、
StargazerとAutopsyの折衷的な陰性のおどろおどろしき奇特プログレデスメタルを聴かせる。
Demilichとのツアーに帯同するのも頷ける、新たな影の実力者だ。

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Dismember / Like An Everflowing Stream (スウェーデン/1991/1st/Nuclear Blast Records)
当時のメディアを顧みればデスメタル5羽ガラスやらデスメタル4羽ガラスの一つに準えられていたEntombedから一歩下がって、
純粋にスウェディッシュデスの大きな一時代を築きあげたDismemberは、
Entombedの計算され尽くした音像と比べると、荒削りな面が逆にスウェディッシュデスデスメタルの多様な可能性を感じさせてくれる。
ダークな叙情性に重きを置いたそのサウンドは後続に多大なる影響を与え、
後に重要になってくるメロデスやハードコアのビート感といったキーワードを通過しながら幽玄に轟き渡る。
#5のインストゥルメンタルでのやや甘美なギターワークでは、その最たる例が味わえるぞ。

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Dying Fetus / Destroy the Opposition (US/2000/3rd/Relapse Records)
NYデス界ではSuffocationと並ぶブルータルアクトがDying Fetusである、
スウィーブ奏法とグルーヴィなリズムセクションが特徴的なバンドアンサンブルは、The FacelessやRings Of Saturn等のデスコアと呼ばれるバンド群が生まれる前から、
当時のNYハードコアシーンの横の繋がりと共鳴し、デスグラインドのお冠を戴きポリティクスな姿勢を以てして、その暴虐を撒き散らしていた。
本作発表後Gt.Vo以外が全員脱退。
その脱退したものたちでMisery Indexを結成する。

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Encoffination / III - Hear Me, O' Death(Sing Thou Wretched Choirs) (US/2014/3rd/Selfmadegod Records)
2008年結成という若手だが、その鳴らす音は、
現代版Cianideとでも言うべき陰鬱の極み、侘しさの極地、鈍重たる汚辱の霧に侵される凄惨たるデスメタル。
先鋭的なトラディショナルはいつの時代も先鋭的なのだろう。

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Entombed / Left Hand Path (スウェーデン/1991/1st/Earache Records)
パンキッシュなビート感、独特の歪んだギタートーン、ヴァイオレンスを紡ぎだすギターソロ、
これらの要素が特徴的なスウェディッシュデスメタルのサウンドを高次元で完成させ、
スウェーデンはストックホルムの地からからDismemberと一緒に世界中に散布した、あまりにも影響力の大きい名盤。

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Exhumed / Anatomy Is Destiny (US/2003/3rd/Relapse Records)
Carcassが提示した暴虐性と叙情性の共存をグラインドコアの枠組みの中で実践した、デスグラインドエリートことExhumed。
ImpaledやAbortedと比べても頭一つ抜けてメジャー度を感じられる彼ら、
10年代での飛躍っぷりには目を見張るものがあるのだが、緻密なリフをもとに組み立てられる緩急の渋さや美醜の対比、
ゴア趣味の充溢が徹底されたグラインドコア/デスメタルへの高い批評性が窺える過去があってこその今(10年代)なのではないだろうか。
Relapseの洒落たジャケットも素敵で、この総合的な落ち度のなさは、
Exhumedの感性、方向性がデスグラインドのクラシックの一つであることを物語っている。

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Extol / Extol (ノルウェイ/2013/5th/Indie Recordings)
1st2ndはブラックメタルと共振する凛冽なプログレッシブデスで、3rdではテクニカルスラッシーな奇怪さを醸し出し、
4thでは伝統的なプログレッシブロックのフィーリングにウェイトを傾けた音楽を提示、バンドは07年に一度解散するものの、12年に再始動、
5thとなる本作では原点回帰と見せかけて、その集大成とも言える音楽を提示しており、やたら特異な音像を創出している。
どの作品にも共通して言えることはRush~Devin Townsendに受け継がれるアトモスフィアと北欧的な清涼感/清潔感で、
そのへんの様式美がデスメタルの余波を受けなかったノルウェイデスメタルの役務としてデスメタルらしさの摩耗を発し、
その面目躍如的な奇譚っぷりを好演してくれている。

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The Faceless / Autotheism (US/2012/3rd/Sumerian Records)
Sumerian所属のUSテクニカルデスコアバンドが発表した稀代の名作。
CynicやDying FetusやNecrophagist等の良質で先進的なデスメタルから創造性を頂いていたテクニカルデスコアバンドが、
Between The Buried & Me系列のプログレを通過し、到達したアトモスフェリックな音楽性は、
デスコアの卑俗性を排他しながらにして、プログレッシブデスの枠組みにも収まらない、
故に先進的で独創的な、幽玄で天上的な暗黒に包まれている。
ここ最近のメロデス/メタルコアバンド(Sunless Rise等)が行うプログレ的手法には、The Facelessからの影響を感じさせるものも多く、
新たな時代のオリジネーターとの呼び声も多い。

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Fallujah / The Flesh Prevails (US/2014/2nd/Unique Leader Records)
ここ最近の若者から支持を得るデスメタルバンドというのは、
暴虐性よりも、聴きやすさやメロディに重きを置いたサウンドが多いように思われる。
その中でもFallujahの手法には、過剰なほどの幻想性が見て取れる。
ゆらゆらと漂い、ぼやけた輪郭を導き出すメロディラインは既存のデスメタルに慣れた耳からは聞き難さすら感ぜられてしまうものだが、
そのCynic影響下の先進サウンドをプログレッシブデスではなく、アトモスフェリックデスというワードに置き換えた程のシーンへの影響力は、
バンドの音楽性における、独創性と完成度の高さが両立されていることを裏付けている。

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Fleshgod Apocalypse / Oracles (イタリア/2009/1st/Candlelight Records/Willowtip Records)
激烈に歪んだギター、慈悲なく打ち込まれるブラストビート、奈落の底から噴出したようなグロウル
それらの要素からなるブルータルテクニカルデスメタルに、シンフォニック要素を付加した音楽性を持つバンド。
良質なデスメタルへの審美眼を持つWillowtip Recordsに見出され、有名レーベルに引き抜かれるというお決まりパターンで
Nuclear Blast に移籍し現在売れ線への強化補修を施され中な彼らだが、
当時のHour of PenanceのVoが、GtVoを勤めるといった枕詞のみで臨むこの1stの時点で既にメジャー度は高く、
前述での暴虐性に加え、ハーモニックマイナースケールでの流麗なギターソロや、次作でAt The Gatesのカヴァーをしていることでも窺えるような、叙情的な虐殺魂が素晴らしい。

2001
Flourishing / The Sum of All Fossils (US/2011/1st/The Path Less Traveled Records)
13年に復活しDeathspell Omega以降の空間的な不協和音的手法を音像に取り入れメディアに激推しされたGorguts、
その彼らより前に空間的でエクスペリメンタルなデスメタルを嗜好していたバンド。
音像における、ポストパンクやノイズやらSmashing Pumpkinsとその影響下のSolstafir等といった匂いを感じさせる先鋭的かつ立体的実験的体験的姿勢は、
アングラデスメタル好きやデスメタルの様式的見地にいるリスナー以外のポストメタルファン等にも高く評価されていたが、惜しくも自然消滅してしまった。

2004
Gigan / Multi-Dimensional Fractal-Sorcery And Super Science (US/2013/3rd/Willowtip Records)
元Hate EternalのGtとBaによって結成されたテクニカルデスメタルバンドというだけ、
既存のテクニカルデスの方程式を逸脱したとすら言える怪音を鳴らすバンド。
当初はサイケデリックでタメの効かせた手法を取り行っていたが、3rdとなる本作で更に深化して、
立体的体験的酩酊感フリージャズといったワードの過る、未知のデスメタルになる。
ただ至ってフリーではなく、技術力が高すぎて逆にインブロめいて聴こえるというだけで、
その巧い展開力と高い先進性は、あくまでも先鋭的にして能動的な高揚感を齎すテクニカルデスのプロットを通しているからこそ成し得たものであるように思う。
日本じゃほとんど黙殺状態だが、この3rdはすごいぞ。

2005 - Unraveled
God Macabre / The Winterlong (スウェーデン/1993/1st/M.B.R. Records)
Gorementと並び初期ゴシック或いはドゥームメタル影響下の、
重厚なスウェディッシュデスメタルバンドとして、Macabre Endから改名し一作だけ残し消えたバンド。
その13年に再結成されるまでも何度か再発されていた、マニアの間で隠れ名盤と誉れ高い本作は、
基本的なスウェディッシュデスメタルに、ドゥーミーなパートを挿入し緩急をつけるといった単純なものだが、
停滞した歪みの上に鳴り響く幻想的で不思議で情感的なギターワークが、
長らくマニアの間で語り継がれてきたオブスキュアなアルバムの存在、その内実をより一層ミスティックなものにしている。
ジャケットは再発盤のもの。

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Gojira / From Mars To Sirius (フランス/2005/3rd/Listenable Records)
Devin Townsend的なプログレの手法を、
グルーヴメタル/メタリックハードコアのプロットを介して取り計らうGojira。
デスメタルの類型は、密度と攻撃性の高さから彷彿とさせるもので、核被害を受けた大海洋生物と共感覚を起こすダイナミズムはそのだけ強く体に叩き込まれる。
曖昧な音楽性としては、スラッジメタルじゃないMastodon、ブラックメタルじゃないKvelertakと帯同したツアーも。
本作はMax Cavalera氏に気に入られ、後にベースはCavalera Conspiracyに迎えられる。

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Gorement / The Ending Quest (スウェーデン/1994/1st/Crypta Records)
トラディショナルドゥームの雰囲気があるGod Macabreと比べると、
こちらは初期ゴシックメタルからの影響が色濃く見て取れる。
お国柄であるパンキッシュなビート感の主張は弱く、初期こそGrave的であったが、
The DecomposedやMy Dying Brideを彷彿とさせる陰性からの退廃感や耽美性は、
スウェディッシュデスの中で一際異才を放っている。
当時潮流を見せ始めたゴシックからの第一次的影響だからこそ、
闇を掴むようなバンドの独自的解釈とその力みようが見え隠れして、
独創的ながら綻びのない名盤に仕上がっている。

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Gorguts / Obscura (カナダ/1998/3rd/Olympic Recordings)
発展に難のあった初期デスメタルへの決別、或いは、バンドを残されたメンバーたちによる決死期の絶叫か、
前作The Erosion of SanityからGt Vo以外の全員が脱退し、
ほぼ入れ替え状態に陥ったバンドが90年代終盤にリリースした本作は、
冒頭からキャンキャンキュンキュンといった具合の不協和音すれすれのノイズに塗れたサイケデリックなギターワーク、
ブラストと鄙びたパートを行き来するドラミング、硬い質感を保ち音として主張するベース、
異能さを引き立てる悩ましい咆哮等、そのどれを取っても、濃厚なアヴァンギャルドの狂気に包まれている。
しかし雰囲気として聞けないものではなく、楽曲が依然理路整然とした構築力に覆われているところなんかは、
フロントマンの脳みそが至って正常で、バンドの起死回生を本気で企てていた事が窺える。
Obscuraが本作のタイトルからバンド名を頂く等、テクニカルを標榜する時代の後続に与えた影響は大きい。

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Grave / Into The Grave (スウェーデン/1991/1st/Century Media Records)
奈落の底から轟き渡る陰鬱なヘビィネス、ハードコアライクな突進力、惨たらしいグルーヴ、
メロウさではなく重さに重きを置いたGraveの1stは、
一般的なスウェディッシュデスの様式から少し外れた凄みを見せてくれる作品で
荒削りな感触が人間の業の深い情念と融解するように、逆説的な生々しさを際立たせてくれる。
のちにリリースされる2ndで普遍的なスウェディッシュデスに近づいてしまったのは惜しいところだが、
最近の作品を聞く限りスウェディッシュデスの重鎮として、シーンのイニシアチブを取り戻しているように思われる。

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Hate Eternal / Infernus (US/2015/6th/Season of Mist)
Morbid AngelのDominationとGateways to Annihilationでギターを弾いていたErik Rutan氏率いるバンド、
初期はDeicide系列の焦熱するデスメタルだったが、徐々に先進性に重きを置くスタイルに、
新たに超絶技巧系のドラマーを加入させた本作では、先鋭性の中で焦熱が回帰しており、
聡明な無神論的サタニズムによるデスメタルがブチ抜けている。バンドの健在ぶりが窺える名盤なのだ。

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Horrendous / Anareta (US/2015/3rd/Dark Descent Records)
スウェディッシュデスメタルの再興はワールドワイドな発展を見せている。
USデスメタルバンドのHorrendousも御多分に漏れずで、Dismember直系のメロウなデスメタルを嗜好しているバンド。
元々独特の芋臭い叙情性で聴かせるバンドだったが、Dismemberと同じ時間軸を歩むように、よりメロウで幽玄で情感的な叙情性への移り変わりを見せる本作は、
変拍子を用いた知的な曲展開や、アルバム全体で聴かせる芸術主義も相まって、スウェディッシュデスメタルリバイバルバンド史上最高傑作との呼び声も多い。

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Ignivomous / Contragenesis (オーストラリア/2012/2nd/Nuclear War Now! Productions)
Dead CongregationやCruciamentumと同じくIncantationやImmolationの要素を感じさせる、
圧倒的排他性で横溢する暴虐を陰鬱で充足させたような行き過ぎたデスメタルを聴かせるバンド。
リフがドロドロに溶かされていて、ほとんどトレモロかノイズのような歪みになるAngelcorpse系の焦燥するブラッケンドデスとも共振するような、えげつない音像で、
その聡明な暴虐性と敬虔な荒廃感の上で、時折奏でられる冥界のメロディーや地獄の旋律が、ありとあらゆる苦痛を一万年かけて与え続けられそれを一万回繰り返しその後は何も残らない冥獄界の抽象性にリアリスティックな陰影を落とし込む、
すなわちNuclear War Now!の思うがままのサウンドなのである。

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Immolation / Close to a World Below (US/2000/4th/Metal Blade Records)
陰惨で退廃的にして立体的なリフ、焼き尽くすようなグロウル、重厚に畳み掛けるタメを効かせたドラミング、その陰性のじりじりと皮膚が焼けていくような灼熱の曲調。
初期はRottrevore等と並び地下臭の漂うブルータルの始祖的なデスメタルを鳴らしていたが、徐々にMorbid Angelにも近しいクラシック音楽からの影響が窺える、拡張高い構築美を讃えた作風へシフトしていく、
4作目となる本作では音質の向上を見せ、上述の如き聡明な暴虐性がアンダーグラウンドとの決別と共に、更には以前から嗜好していた独特のリフレインを主とする音像の稀少性を排他的に再構築、
そしてより先進的に、客観的に見てデスメタルに造詣の浅い方から聴いても、比類ない危うい感じのする背徳的な作品に仕上がっている。
90年代以降のデスメタルバンドに多大な影響を与え、今も尚デスメタルの祭壇の上層部に君臨するImmolationは、
Incantationと並びアンダーグラウンドの底から、Morbid Angelに比肩する程デスメタルの可能性を拡張したバンドと言える。

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Impetuous Ritual / Unholy Congregation Of Hypocritical Ambivalence (オーストラリア/2014/2nd/Profound Lore Records)
歪みの極地をその身で体現するPortal。そのサイドプロジェクトとして知られるImpetuous Ritualは、
やはりPortalの要素が核となっているものの、どちらかというとブラックメタル寄りのリチュアルなサウンドスケープを提示するバンドだ。
1stを踏襲し、ありとあらゆる悲しみと苦痛のアブストラクトを幻視する、無限の悪夢を彷徨うかの如きデスメタルを聴かせる本作は、
正直何をやっているのかわからない模糊とした部分を通過しながらも、
神秘的で呪術的なスケールや葬式めいたアトモスフィア、冒涜的なギターソロといった現代的音楽思想のダークサイドが濃縮されたとも言うべき、
凄みと危うさの確と伝わる殺傷性の高い一枚になっている。

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Infester / TO THE DEPTHS (IN DEGRADATION) (US/1994/1st/Moribund Records)
ゴシックメタル開陳後のUSデスメタルシーンにて陰惨なデスメタルをいち早く体現していたバンドにして、
昨今のブルータルデスメタルの礎を築いた、IncantationやImprecationと並ぶ時代の衆の一つであるInfesterの唯一作。
恐らくはUSアンダーグラウンドデスメタルの最カルト名盤と呼べる代物で、聴くとスラミングデスなんかの母体的でもあり、Convulse等のフィンランドデスが脳裏を過る音像でもある。
シンセサイザーをいち早く取り入れた先進性も特筆すべき点となっており、病的な暗黒の叙情性を頂いた始祖ブルータルデスが本作なのである。
現在は入手困難だが、bandcampにページがある。
https://ormolycka.bandcamp.com/album/infester-to-the-depths-in-degradation-oo43
これは12年にアンオフィシャルとしてカセット版をリリースしていた配給元レーベルのORMOLYCKAが流しているもので、奇跡的にYNPにて聴くことができる。

6299
Incantation / Mortal Throne of Nazarene (US/1994/2nd/Relapse Records)
呪術的なブラッケンドデスの核となり、惨憺たるドゥームデスの核となり、暗黒デスメタルの礎を築いた、
昨今のアンダーグラウンドデスメタルの総本山的サウンドを誇る重鎮。
本作では、ヴゥ~~ォ(微細な発音はある)と終始呻き咆哮するボーカルワークがそれを物語るような、
割合スピード感のある前作と次作に挟まれて、重みと陰鬱の極地を初期ブルデス界隈と反復することにより創出する、
圧倒的なデスメタルのダークサイドを提示した衝撃的名盤だ。

6752
Malevolent Creation / In Cold Blood (US/1997/5th/Pavement Music)
わざわざこの時代のMalevolent Creationをかいつまんで掘り下げるなんてデスメタルのお勉強という名の苦痛以外の何者でもないと思っていた私だが、
その教科書的足らしめるデスメタルの王道には名伏し難い良さある。
スラッシュメタルをより過激にした初期デスメタルはスプラッタ表現の羅列そのものが音楽になったようなものであって
それ自体は時代の経過につれて自然と淘汰されていった或いはよりシーンの中に沈下していったものなのだが、
このバンドに関しては今現在も第一線で活躍する純然なデスメタルバンドと言える。
さまざまなレーベルを渡り歩き、その関係で流通乏しく今もなお過小評価されているRetribution等の
超名盤を残してきた重鎮だが、音楽性としては完成度の良し悪しはあれど基本的にはBenedictionなんかと同じで、
ファストとミドルを絡めつつ基本的に前へ前へ前へ突進していくといった暴虐の持久力が高いサウンド。
その中でも本作はソリッドな質感が生み出す重厚さが波打つ快作に仕上がっており重たく打ち込まれるファストなリズムセクションと
細かく平坦な刻みやハードコアサイドの素養を感じさせるスロウパートとベースが兼任する血気溢れる強靭なボーカルワークが高い次元での結束を見せている。
サウンド全体が重く歪む中で一際輝き始める小気味の良いシンバル使いが巧いし全員が全力を尽くしているようなこのバランス感覚はやっぱ良いなあ。

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Master / On The Seventh Day God Created Master (US/1991/2nd/Nuclear Blast Records)
デスメタルのルーツのひとつがMasterと謂われる。
初期デスのスラッシーな感覚と共振したハードコアライクな衝動性による激突のメタファーは、Entombedにも影響を与えた。
2ndとなる本作では、モリサウンドで録音、名匠Scott Burnsによるミキシングを施され格段に音がよくなっており、
♯2♯10では、Obituaryのボーカルがゲスト参加。
そしてRipping Corpseに比肩する初期デスメタルの最速ともいえる音像、ハードコア好きデスメタラーにはマストバイな名盤である。

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Mammoth Grinder / Underworlds (US/2013/3rd/20 Buck Spin)
右記の2者より早い05年から活動するものの、近年では知名度的にBlack BreathやXibalbaに続いてしまっているクラストデスメタルバンド。
EntombedちっくなBlack Breathと比べると、ケイオティックな空気感の裡にMasterのような衝動、激突のメタファーが内包されたハードコアへの批評性が高いサウンドで、これがストレートな混沌を演出している。
殺戮衝動のような単発的サウンドは人々の心の奥底に眠る野蛮な血を滾らせてくれる。すごいぞ。

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Martyr / Feeding The Abscess (カナダ/2006/3rd/Galy Records)
DeathやObscura系列のテクニカルデスにカナディアンスラッシュの奇天烈さと緊張感を織り込ませたMartyr。
Voivodに通ずるスペースSF的サウンドが収められたディスコグラフィー中でも最も実験的でアグレッシブな作品といえる本作での、
終盤4部組曲構想のテクニカルデスは、当時の最先端を行っていたし、サウンドを支配する緻密さは、息つく間もなく次の奇怪な展開に移行していく。
なお、バンドのGt,Voを務めるDaniel Mongrain氏は、08年当時バンドの存続危機に陥っていたVoivodへChewy名義で加入し、
それ以後、Piggyの遺志を継承したギターワークで感動を巻き起こすことになる。
Martyr自体は非常に惜しくも12年に解散した。

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Meshuggah / Koloss (US/2012/7th/Nuclear Blast Records)
Djentの創始者Meshuggah。
元々は 変拍子のインストゥルメンタルに重きを置いた緊張感のあるスラッシュメタルを嗜好していたが、
2ndで獰猛なポリリズムを取り入れ突然変異的に変拍子モンスターとなり、後に00年代の若い後続たちがクソほど取り入れ神格化された。
その後の音楽的変遷としては、徐々に機械的な手法に嵌っていき、5thアルバム(Catch Thirtythree)時点では打ち込みのドラミングを使用したりしていたのだが、
それ以降徐々に生身の能動性を取り戻していき、12年にリリースされた本作では能動的なミドルテンポを主軸にファストなポリリズムを駆使する起伏に富んだ楽曲の構築力の中でも、
ジャズの手法を取り入れたギターが放つ、暗黒の中で舞い翻っていくような優雅で深遠的な情調が、一貫した芸術性を醸し出す名作に仕上がっている。

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Mithras / Forever Advancing Legions  (UK/2002/1st/Golden Lake Productions)
近年薄っすらと潮流を見せ始めたデスメタルのエクスペリメンタル化、
00年代初頭に登場し、Morbid AngelのDomination影響下のサウンドで、その臨界点に穿たれたMithras の1stは、
00年代でもっとも過小評価されている先鋭的なサウンドだったといっても過言ではない。
タッピングを用いたギターソロや、楽曲の幻想的で煌びやかな情調に組み込まれるのは、陰性やメロデスのOSではなく、
Morbid Angelが提唱したエクストリーム性の独自的解釈が用いられている。
豆だが、アルバムジャケットのファーの部分だけ実写っぽい。

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The Monolith Deathcult / Trivmvirate (オランダ/2008/3rd/Twilight Vertrieb)
オランダから現れたMonolith Deathcultはシンフォニック要素のあるブルータルデスメタルにエレクトロニクスを付加した欲張りサウンドで親しまれるバンド。
本作はその一風変わったサウンドが認知された出世作で、スパルタカスの時代や神話性を投影した作風による重厚なサウンドを頂いており、
暴虐性よりも壮大さに重きを置いたサウンドに於けるエレクトロニクスを用いた先進性は、後に大ブレイクするFleshgod Apocalypseやその他のアングラシンフォデスバンドの二手先を行っていた。
やはり何といってもどのジャンルにも当てはまらないマージナルな良さが同時に独自性の萌芽を感じさせる。名作なのだ。

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Morbid Angel / Blessed Are The Sick (US/1991/2nd/Earache Records)
冒頭が遅いパート。展開がコンセプチュアル。アコースティックギターやクラシック音楽の断片。ブラストビートとうねるベース、目下に広がるは地獄の情景と天使の囁き。
常にシーンに深い啓示を与えるデスメタルの神のような存在の2ndは、グラインドコアの激しさを手に入れた1stに続く、デスメタルのアイデンティティという問いに対してその先駆者の一つが導き出した答えとも言える。
内実である暴虐の世界からの死の連想性が際限なく広がりゆく音空間は、遍く苦痛と凄惨な被虐性に支配されているぞ。

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Morbus Chron / Sweven (スウェーデン/2014/2nd/Century Media Records)
AutopsyとMasterの融解したようなサウンドを聴かせていたスウェディッシュデスメタルバンドMorbus Chronの2ndは、
当時興隆を見せていたトラディショナルドゥームリバイバルや、ブラックメタル親和性拡大の余波の中で誕生した、夢想の中を彷徨い歩くプログレッシブデスメタル。
小難しい技巧ではなく巧みな展開力で聴かせる作風はやはり時代錯誤なんかではなく、テクニカル至上主義の次の一歩を歩み始めていたのではないだろうか。
その革新的なサウンドは国内外に幅広く支持されたが、本作発表後15年に非常に惜しくも解散。

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Necrophobic / Darkside (スウェーデン/1997/2nd/Black Mark Production)
♯8でDissectionのVoが参加した名盤と誉れ高い2nd。
後にブラックメタル化して行く中での過渡期的な本作の音像は、
冷え冷えとしたトレモロによる叙情性がエッジオブサニティを彷彿とさせるホプキンスな戯れと同一線上に重なるメロウなデスメタルサウンドで、
直線的な展開の裡で急転するギターソロや、憂鬱や荒涼感の中で微睡むアルペジオや、鍵盤を用いたインスト曲などのどれもが琴線に触れるべくして展開していく。
このメロブラとメロデスの中間にあるイーヴルで独創的なデスメタルは、当時の時代が生み出した混沌の産物でありながら、同時にそのスウェディッシュメタルへの批評性の高さが窺える。

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Nile / Amongst the Catacombs of Nephren-Ka (US/1998/1st/Relapse Records)
Morbid Angel影響下のコンセプチュアルな次世代的デスメタルサウンドは00年代に数多く存在していたが、
それらの道しるべとなったのが、デスメタルにエジプトの思想を持ち込んだこのNileだ。
ダダダダと突進するデスメタルに神秘的でエスニックなメロディを付け、起伏を立たせる作風は後に大仰なものになっていくが、
シンプルな作りの本作だからこそコマーシャルでわかり易い衝撃があった。
そしてこのスタイルは00年代において、そのままNileの暴虐性へと抽象化していく。

2
Nocturnus / The Key (US/1990/1st/Earache Records)
デスメタルにいち早くシンセサイザーを導入した先進的なSFデスメタルの始祖。
間がな隙がな畳み掛けるアグレッシブな手法は、Slayer、Possessed、Slaughterといったイーヴルなスラッシュメタルを土台にされており、
その上に乗せられた煌びやかだったりノイズ的だったりするギターソロや、90年代のゴシックやシンフォニックブラックメタルと同じような薄らとしたシンセサイザーの音色が、
バンドのアイデンティティを滾らせる特殊な音像は、隙間恐怖症の如く畳み掛けられる。

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Obituary / Cause Of Death (US/1990/2nd/Roadracer Records/R/C Records)
初期フロリダのデスメタルを象徴する一作で、90年リリースのこの辺からUSのデスメタルにコンセプチュアルな諸要素が出てくる。
それは、のちにリリースされるBlessed Are The SickやButchered At BirthやUnquestionable Presenceなど90年代前半の名盤に強いイマジネーションを与え、
それらは本作の劇的な展開力があったからこそ、Celtic Frost傘下のほんまもんのカース的な空気感があったからこそ、
スラッシュ経脈の過激サウンドからの脱構築を行うことができたと言っても過言ではないのかもしれない。歴史的名盤なのだ。
あとのハードコアテイストも素敵だけどね。

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Obscura / Cosmogenesis (ドイツ/2009/2nd/Relapse Records)
Necrophagistに在籍していたgtのChristian Münzner氏、同じくdrのHannes Grossmann氏とex-PestilenceのJeroen Paul Thesseling氏が加入し、
Death直系の噂に違わぬ技工力とSF的世界観が話題を呼んだバンドの出世作。
BELIEVERやMekong delta等の90年代のテクニカルスラッシュを聞いて育ったというような世情を感じさせるサウンドは、
知的な構成力の中に宿る物憂げなメロディーも印象的で、この因子達は世界各地に多くのフォロワーを生んだ。

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Origin / Antithesis (US/2008/4th/Relapse Records)
緻密で研磨性の高いリフに、終末思想を吐瀉し続けるグロウル
裏打ちやスネアの連打によってブラストより速い速度を獲得したドラミングによる異形のデスメタルバンドOriginは、
当時Nileと並び最もテクニカル指数の高いファストで暴虐的な音楽を提示していた。
そしてその概念の進化が頂点に達した本作は、やはり00年代のモダンさが活きていながら、遍く攻撃性に圧殺されるほどの殺傷力だ。

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Pestilence / Testimony Of The Ancients (オランダ/1991/3rd/R/C Records)
AsphyxやThanatos、Pentacle等、オランダの初期デスメタルはどれもスタイルは違えど、
スラッシュの激化とした点ではUSの発展と共振している。
PestilenceもUSで言うところのDeathやAtheistと共通するテクニカルなデスメタルを聴かせているバンド。
中でも初期作品で聴ける楽曲の先鋭性は、デスメタルの歴史の中でも重要なもので、内実の緻密な研磨性と技巧的な展開力は様々なデスメタルバンドを触発させたと言える。
3rdとなる本作では、初期の殺傷力そのままに、よりデスメタリックな低音を響かせるようになったピッチの高い声質でのグロウルが楽曲を支配するようになっていて
やや甘美でメロディックなギターソロや曲間に多用されるSE等の効果等は、ドラマティックな世界観を導いている。

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Phlebotomized / Immense Intense Suspense (オランダ/1994/1st/Cyber Music)
オランダの初期デスで最も先進的だったバンドの名作1st。
グロウルとクリーンを駆使するヴォーカルが紡ぎ出すキーボードやヴァイオリンを用いた壮大なプログレデスメタルは、
当時のDan Swanö氏関連プロジェクトとも共通した幻想性に耽ることができる。
所属するCyber Musicの倒産により好事門を出でず長らくマニアの間で幻の名盤と語り継がれてきた本作だが、
奇跡的にバンドが13年に再始動し、Vic Recordsと契約、
Hammerheart Recordsの尽力もあり一連の作品が蘇ることになった。

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Portal / Seepia (オーストラリア/2003/1st/Blacktalon Media)
ひとの意識の奥底に語りかけてくる本能的な恐怖が、本作には充満している。
94年結成という意外なベテランの彼らだが、結成から本作をリリースするまでに9年の歳月を要している。
極初期はMithras等と共通するテクニカルなリフを主軸としたデスメタルをプレイしていたが、
この1stで聞けるのは、茫漠と広がる暗黒のノイズの連鎖、酷く能動的な闇。暗闇の雲。
ある一点に吸い込まれていき圧縮されるような純然たる恐怖。
ある一定のノイズをエクスペリメンタルと曲解するように、Portalの音楽を客体的に俯瞰的に感じるのは難しい。
ただ、逆を言えばその分音像には能動的な深い思念が宿っているということでもある。
そしてこの先鋭的な姿勢は、以後Profound Lore Recordsに見出され、バンドは00年代中盤以降のアンダーグラウンドデスメタルのパイオニアとして注目を集めることになる。
ジャケットは2008年Profound Lore Records 再発盤のもの。

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Pyrrhon / The Mother Of Virtues (US/2014/2nd/Relapse Records)
テクニカルなデスメタルにサイケデリックな要素を付加させたバンド。
そこにあるのは同じサイケテックデスメタルのGiganみたいなモダンな質感ではなく、ハードコアなジャンク感を伴っているから味わい深いし独創的だ。
そしておサイケだからこそ、殺伐としているからこそ、欠けたステンドグラスから屈折した光が漏れ出すように、不協和をたたえた玲瓏たる叙情性が胸の奥まで響き渡って行く。
Relapse Recordsと契約してリリースした本作以後、一気に名が知れ渡ったが、以前と路線が変わらない本作は、その未だに残るアングラ感も良い。

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Rings Of Saturn / Dingir (US/2012/2nd/Unique Leader Records)
テクニカル/デスコアと言ったら若者の音楽としてのパブリックイメージが未だ根強いし、
ワールドワイドな情報がすぐに受け取れる現代的な世情に染まった若者の提示するものとしては、やはり画一的なものになりがちだが、
同時に昔から何か新しいことをやろうとするのもまた若者の性であり、このRings Of Saturnも独創的なバンドとして人気を博している。
矢継ぎ早に繰り出される様々な展開が、SF的な世界観を創出するドラマティックな楽曲群は、
確かな技術力による裏付けがあるからこそ、人を楽しませ感動を誘起させる音になるのだろう。

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Rottrevore / Iniquitous (US/1993/1st/Drowned Productions)
当時はIncantationと同格の存在感を持っていたUSブルータルデスメタルの先駆者。
本作はバンドが残した唯一のフルアルバムで、ファストで重たいサウンドは、蛮族の瘴気に染まった後続達へ影響を与えたカルトクラシックとして誉れ高い。
09年にXtreem Musicが再発、バンドも11年に再始動しており、13年にはEPを発表し再びアンダーグラウンドを沸かせた。

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Sadist / Above The Light (イタリア/1993/1st/Nosferatu)
初期デスメタルの研磨性にイタリアンプログレの奇妙な神秘性を掛け合わせたプログレッシブデスメタルバンドSadist。
デスメタル界隈で早い段階からシンセサイザーの音色を取り入れたプログレッシブデスの先駆者の一つで、
どの作品も趣が異なるバンドだが、1stとなる本作では、重たくダークな耽美性に比重が傾けられたサウンドを提示している。
このメロデス黎明期と共振するメロウな作風の裡に、同時期に潮流を見せ始めたゴシックメタルの土着的解釈の効いた奇譚サウンドは、
バンドの3rdまで参加していたNecrodeathのドラマーの手腕により、ミステリアスな陰影に孕む訝しさと攻撃性の調和を高い次元で保った名作に仕上げている。

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Sarpanitum / Blessed Be My Brother (UK/2015/2nd/Willowtip Records)
Nileのコンセプチュアルな要素と暴虐性の継承者Sarpanitum。
といった感じの名作1stを07年にリリース後08年に活動停止し、10年から再始動することになるのだが、
再始動後のこの音像はMorbid Angel傘下のMithrasと共通する、豪壮でエピックなデスメタル。
ImmorationやHate Eternalの技巧的なデスメタルに煌びやかな叙情性が寄り添い、
1349系の凛としたファストさで研磨されていて、聴く者を圧倒する名盤だ。
現在Willowtip Recordsに在籍する先鋭的なデスメタルバンドというだけでも更に化ける可能性は大いにある。
 
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Shub Niggurath / Kinglike Celebration Deluxe Reissue (メキシコ/1997/1st/Oz Productions)
フランスに同名の暗黒プログレッシブロックバンドがいるが、
こちらは修羅の国メキシコに産み落とされた方の邪神だ。
極初期はCenotaph系の激烈なデスメタルを鳴らしていたが、
本作で聞けるサウンドとしては、Sadistik Exekution系の初期ブラック/デス的なマージナルな焦熱感を土台に、
The Chasmの緻密さやVital RemainsやNecrophobicのサタニックな幻想性を織り交ぜたサウンドで、
おおむね邪心のメタファーに沿ったような、修羅の国の土着性が効いた暗黒譚を創出していて熱い。
97年に本作発表後解散したが、11年に再結成し2ndをリリース、その健在ぶりを見せ付けた。

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Spawn Of Possession / Incurso (US/2012/3rd/Relapse Records)
00年代最高のデスメタルギタリストといったら、様々な人相、様々な音色が浮かんでくると思うが、
ex-Necrophagist、ex-ObscuraのChristian Münzner氏は間違いなくどっかしらに食い込んでくるであろうと思う。
隙あらば叙情的なフレーズを決め込んでくる、どのようなバンドで弾いていてもそれと解る存在感。
そんな彼が再度Necrophagist的なバンドに入って、ギターを弾きまくっている・・・!
ということで多少話題になったりならなかったりしたSpawn Of Possessionの3rd。
至上最もリフの多いデスメタル作品とでも言うべき、凄まじく緻密で転調の多いデスメタルを終始展開しているが、
終盤には壮大な展開も用意してありで、非常に聴き応えのある作品になっている。
今でもたまに聴きたくなるし、聴くたび未だに新たな発見がある。

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Sentenced / Shadows Of Past (フィンランド/1992/1st/Thrash Records)
Amorphisと並んでフィンランドデスメタルからメジャーなメタルへ羽ばたいていったバンド。
デスからメロデスになり、そしてゴシックへと音楽性が変態していくバンドであるが、
最初からプログレの要素が強かったAmorphisと比べると、
Sentencedの初期は、病的なフィンランドデスの土壌で陰性を発散しているのが印象的。
その空間を覆う虚ろげで翳りのあるメロディは、メロデスの黎明並びに、後に称される自殺メタルへの萌芽を感じさせる。

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Suffocation / Effigy Of The Forgotten (US/1991/1st/R/C Records)
本作に充溢するSuffocationの緻密さは、閉塞感や窒息のメタファーに覆われているかのようで、重くダウナーであり、
その黒人ギタリストTerrance Hobbs氏により奇怪に彩られていく。
テクニカルブルータルデスメタルのアイデンティティとも言うべき病的に歪ませたギタートーンの、
輪郭がぼやけながらも正確に叩き付けられる糢糊とした暴虐的で退廃的なサウンドには、
原初的原始的な危うさがあって、それは、やはり今の耳で聞いても凄惨を覚える。
昨今のテクニカルデス並びにブルータルデスメタルに多大なる影響を与えたSuffocationの音像を、
多くのデスメタル人間に知らしめた稀代の名盤だ。

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Swallowed / Lunarterial (フィンランド/2014/1st/Dark Descent Records)
07年から活動するバンドで、初期にリリースしたデモやEPが既に話題になったりしていたが、
これは、ドゥームデスメタルにブラックメタルの要素を付加し、フリージャズの方法論を以ってして、
アンダーグラウンドの漂流の中からメジャーなデスメタル界隈へ忽然と浮かび上がってきた衝撃の1st。
空間を漂うような音響的なアプローチはDisembowelmentにも類するフューネラルな聴き心地だ。

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!T.O.O.H.! / Order and Punishment (チェコ/2005/3rd/Elitist Records)
OriginとMacabreを掛け合わせたような、テクニカル指向でのブルータルデスメタルとグラインドコアの融解点にあるサウンドを下地に、
チェコ語のファニーな歌唱靡かせるバンド、ボーカルスタイルはSystem of a Dawnにも近しい中毒性がある。
得てしてOriginのようなテクニカルブルータルデスは中高音域を多用するため自然と音が軽くなりがちだが、
!T.O.O.H.! に関してはコード進行が確りとある作風な為、流線型の動きを伴って奥ゆかしく展開されており、巧い。
なお、このような形容ができるのは全4作中1stと3rdである本作で、2ndのサウンドにはCenotaph系列の地下の訝しい香りとエクスペリメンタルな雰囲気が漂っている。
なお4thは宅録グラインドゴアみたいなものなので結構な肩透しだ。
ポリティクスな姿勢のバンドであったためどの作品も流通に乏しく、本作以外の作品の入手は困難である。
この3rd発表後しばらく活動停止し、11年に再始動してこじんまりとしばらく活動していたが13年に解散した。

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Toxodeth / Morbidest Reality (メキシコ/1993/2nd/Culebra)
Necrodeath的イーヴルなデス/スラッシュメタルから突然変異したToxodethの2nd。
間がな隙がな畳み掛けるかの如きNocturnusやMekong Deltaを髣髴とさせるSF感漂うサウンドが終始展開されており、
当時のメキシコで先鋭性に重きを置いた、語り部のような歌唱や、急転直下の曲展開、
それを充実としたものにさせる楽器隊の強引気味な技巧力はもっと評価されていいのでは。

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Tribulation / The Formulas of Death (スウェーデン/2013/2nd/Invictus Productions)
Watain系列の攻撃的な動性があるデスメタルだった1stへ、ユーロプログレの発展的な展開力を組み込んできたTribulationの2nd。
内実としてどこか発展的過ぎて、纏まりに欠けるところもある本作なのだが、そこもまた先進的な良さとして捉えることができるのは、
やはりそこにオリジナリティをひしひしと感じるからであり、過去の焼き増しではなく、
れっきとした現代のスウェディッシュデスを実践し、そして過去のフィーリングを紛れ込ませるスタイル。
その巧さたるやといったらない。
この次の作品ではゴシックロックに傾倒した作品を開陳しており、毎作作風が違う為、
次はどんな変わった音を聴かせてくれるのかといったところで、今後の動向が注目されている。

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Triptykon / Melana Chasmata (スイス/2014/2nd/Century Media Records)
ゴシック/デス/ドゥーム/ブラックのオリジネイターであるCeltic FrostのThomas Gabriel Fischer氏が、同バンド解散後にDark FortressのV. Santura氏等と結成したバンド。
基本的にはCeltic Frost最後の作品となったMonotheistの路線で、ゴシック/デス/ドゥーム/ブラックの境界線上にある原初的な陰鬱感、退廃的な感性が漂う激重音楽を提示。
2ndとなる本作でもその路線は変わらず、その中でも作中に登場する女性ヴォーカルや、作品全体を覆う密教的な雰囲気がドラマ性を引き立てており、デカダンな芸術性のある作品に仕上がっている。
H. R. Giger氏の遺作となったアートワークも総合して、近年のアンダーグラウンドネガティヴメタルミュージックのイニシエーションにもなり得る大名盤だ。

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Ulcerate / Of Fracture and Failure (ニュージーランド/2007/1st/Neurotic Records/Willowtip Records)
主観的に見れば衝撃の1stなのだが、ニュージーランドというのはデスメタルが盛んな国ではないので、
世情的に見れば、それこそノルウェィにいた当時のCadaverと同じで、ある程度ほかとは違った何かがないと世に出られなかったものであるように思う。
USのテックデス/ブルデスバンドがコンビニエンスな具合に粗製氾造されるのとは訳が違っいて、本作のやべえときのImmolationとは共振しつつもノイズから影響を受けたテクニカルなデスメタルは、
お国を超えて広く知れ渡ったし、その先鋭性は当時のシーンに衝撃を与えた異質な音像なのである。

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Undergang / Indhentet Af Doden (デンマーク/2009/1st/Independent)
デンマークから出てきたデスメタルバンドUndergangは、近年USのDismaやVastumやギリシャのDead Congregation等と並んで
「IncantationやRottrevoreやInfester等に充満する初期アンダーグラウンドデスメタルの遺伝子」を持つニュータイプとして注目を集めている。
Bolt Throwerの暴動性とAutopsyやGraveに代表される汚辱感の融合の結果として産み落とされたアングラ臭の濃厚なスタイルは、
強烈なダウンチューニングを施された速いデスメタルとしてRottrevoreの類型を狂信させる代物に仕上がっている。
といったこの1stの時点ですでに完成され過ぎた為か、バンドは後にドゥームデスのコンセプチュアルな要素を増していく。
ジャケットは2010年Me Saco un Ojo Records盤のもの。

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Vastum / Patricidal Lust (US/2013/2nd/20 Buck Spin)
Undergangと同様、Bolt Thrower系列の様式を介してCoffinsやGrave流ドゥームデスの色気を発する、
現代的アンダーグラウンドデスメタル界隈の内実をさらに充足させるVastum。
死のエロティシズム的な背徳の官能美を携えたドゥームデスを、男女ツイングロウルによりドラマティックに展開する様は、2ndとなる本作で混沌の深奥を極め、
「ささくれだった」「牙を剥くような」といった表現が似つかわしい排他的旋律とファニーでイカれた陰鬱感が、
荒廃した亜激重音空間を構築するといった技巧力と芸術性の両立が目覚ましい。

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Vital Remains / Let Us Pray (US/1992/1st/Deaf Records)
USデスメタルの中で之ほどまでに正統的なデスメタルの隠れ名作はないだろう。
正統派からの様式美を感じさせる楽曲の展開力、そのしっかりとした楽曲の下地が、技巧的に動くベースの音色や、神秘的なサタニズムを演出するSE、
そのシンセの音色といったユニークな要素を枯らさないように作品の完成度の高さを助長している。
この相乗効果により綻びを出さない最高のアンチクライストオブデスメタル作品だ。

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Veil Of Maya / Eclipse (US/2012/4th/Sumerian Records)
Veil Of Mayaは、当時レーベルメイトのThe FacelessやBorn Of Osirisと並び、Cynic、Meshuggahと言ったテクニカルプログレッシブな楽曲の構築センスを、
いち早く体得し、そして取り入れた先駆者的存在。
そのテクニカルデスコアの黎明から出てきた、ミステリアスな音色と変拍子のグルーヴで覆われる中での、速さや過激さに重きを置いたハードコア的な展開力は、
デスコア界のReign in Bloodといっても過言ではない当時の先進性があったのでは。

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Winter / Into Darkness (US/1990/1st/Future Shock)
Winterが90年にリリースしたInto Darknessは、Celtic Frost傘下のドゥーミィなデスメタルにして
侘しくも幻想的なアンビエント要素を内包した、あらゆる終末思想のイニシエーションである。
地下スラッシュにも似た音作りと、土地柄かハードコアな感覚にも富んでおり、
衝撃的遅さの波に慣れてくると、そういったよさも味わえるカルト名盤だ。

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Wormed / Exodromos (スペイン/2013/2nd/Willowtip Records)
Defeated Sanity系列のアンダーグラウンドなテクニカルブルデスを鳴らしていた1stから、
10年後に開陳された2ndは、Cryptopsyのパラフレーズ的なテクニカルデスメタル。
その3rd以降のCryptopsyを髣髴とさせる、ハードコアやジャズの素養を先進的な次元でデスメタルに落とし込んだ音楽性は、
後に特質的な音楽を嗜好するSeason of Mistに見出される。

以下はリストからもれた名作です。盲点です。

Adramelech / Psychostasia
Afflicted / Prodigal Sun
Asphyx / Asphyx
Blood Red Throne / Altered Genesis
Disharmonic Orchestra / Not to Be Undimensional
Disgorge / She Lay Gutted
Coffins / Mortuary in Darkness
Gorod / Process of a New Decline
Anatomia / Decaying in Obscurity
Funebrarum / Beneath The Columns Of Abandoned Gods 
Impetigo / Horror of the Zombies
Nunslaughter / Goat
Macabre / Gloom
Necrophagia / Season of the Dead
Ripping Corpse / Dreaming with the Dead
Morpheus Descends / Ritual of Infinity
Disma / Towards the Megalith
Grave Miasma  / Odori Sepulcrorum
Luciferion / Demonication
Sinister / Cross the Styx
Necrophagist / Onset of Putrefaction
Lykathea Aflame / Elvenefris
Ataraxy / Revelations of the Ethereal
Zealotry / The Charnel Expanse
Obliteration / Black Death Horizon
Nocturnal Vomit / Cursed Relics
Masacre /  Reqviem
Pentacle / Under The Black Cross
Coffin Texts / Gods Of Creation, Death And Afterlife
Axis Powers /  Pure Slaughter
Armoured Angel / Angel of the Sixth Order
Runemagick / The Supreme Force of Eternity
Luciferon / Demonication
Ripping Corpse  / Dreaming With the Dead
Drawn & Quartered / To Kill Is Human
Sorrow / Hatred and Disgust
Vader / De Profundis
Wombbath / Internal Caustic Torments
Devourment / Molesting the Decapitated

Ritual Chamber / Obscurations (To Feast on the Seraphim)
以上です、ご閲覧いただきありがとうございました。