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Convulse / Cycle Of Revenge (2016)

フィンランド産デスメタルバンドの復活後2作目となる4thフルアルバム。
前作同様フィンランドのSvart Recordsからリリースされた。

Convulseというのは日本語にして振動の意で、Cycle Of Revengeと言うのは復讐の周期となる。
フィンランドデスの潮流の中で病的な寂寞感を提示した稀代の名作1st、
そこから一転してS.D.S.という前身であるスピードメタルバンドの素養が偶発的に顔を見せたNWOBHMやグランジらしきデスメタルを聴かせる怪作2nd、
更に一転して初期のGraveにも近しいドゥーミーなデスメタルにプログレッシブロックのフィーリングを落とし込んだ復活作3rdときて、本作のリリースとなる。

毎度作風の違うバンドなだけ、そして全て渋い完成度を持っているだけ期待値の上がるバンドであるだけに、
今作の音像はどうなるのかと言ったところであるが、個人的な慨嘆を漏らせば、これはバンドのエクストリームな偏向を信じさせる充実とした内容になっている様に思う。

今作の音像は、前作の路線を踏襲しながらも、2ndにて鳴らしていたグランジ風味のあるデスメタルのポスト化と言ったような音像と成っており、
それを覆うメロディの種類としてはオリエンタルな雰囲気が漂う代物と成っている。
これは何にも似ていないと断言できる程、特質的音像が鳴り響いている訳だが、
作中の随所には、Svartのドゥーム嗜好趣味とも受け取れるような、全体での間の取り方や、SleepやDream Death等を彷彿とさせるその方面のリフレインも炸裂している。♯5や♯10にて顕著だ。

そしてそこに1stと変わらないシックネスなタメの効いたグロウルが同居しているのだから、♯6に至っては渋みのあるノーマル声での歌唱すら披露しているのだから、
殊更に特異な概観が露わになり、直面する独創的な世界に相対した私の本記事を書いている時分の悩み苛まれる心情と言ったらない。

ただ、そんなことを度外視して何度でも聴ける良さのある音像と成っている、そう信じさせる、本作の音像を支持させるだけの因子としては、
2ndから19年後に再結成、Svartに移籍し、更に増すこととなったグランジ/ドゥームスキルの練達や、
初期の変遷からお判り頂ける通りで、スピードメタルから最も病的なフィンランドデスの形態を体現する程の、音楽素養的振り幅の大きさ、そしてその表現力の高さとその方向性精神性に裏付けられる、
本作での知的な楽曲の展開美、微細な緩急のつけ方を主として、ポストメタル/オリエンタルなムードまでを含めた先進的なデスメタルと言うべき、この完成度の高さと独創性にまで結びつく所にある。
変わったデスメタルに関しては最近多いものだが、Convulseは昔からの様式美を積んでいるだけ、その渋み、深みが違うのだった。

曲目は、

1. Cycle of Revenge  05:02   
2. God Is You  03:15   
3. Pangaea  02:51   
4. Fractured Pieces  05:12   
5. Nature of Humankind  04:27   
6. Ever Flowing Stream  03:17   
7. War  04:05   
8. Into the Void  05:48   
Total  33:57

♯2はyoutubeにリンクしてあります。