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2017年激重鋼鉄音楽私的傑作選

もとい年間ベストです。
今年リリースされたメタル作品の中でも傑出していた激重鋼鉄音盤を50枚程選出させていただきました。

バンド名/アルバム名
(国名/レーベル/ジャンル)の体で、
ジャケットはyoutubeにリンクしてあります。DIES IRAEさんのように。
それでは、あしからず。

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Satyricon / Deep Calleth Upon Deep

(Norway / Napalm Records / Black Metal)
Napalm Records移籍後初のフル作。
フル作としては1999年『Rebel Extravaganza』以来、CadaverのAnders Odden氏(Gt)が全面参加しており、Satyricon印を焼き付けるFrost氏の遊び心溢れるリズム・セクションが存分に楽しめる秀作。
作風としてはVed Buens Ende~Virus、Yurei、近年のDodheimsgard等のリスナーにも訴求するような求心力があります。
チェロ、ヴァイオリン、フレンチ・ホルン、バスクラリネット、メロトロン、コントラファゴット奏者が脇を固める布陣で、目立ったアプローチではないもののとても繊細に作り込まれており、愛聴盤となっています。

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Primitive Man / Caustic

(US / Relapse Records / Doom,Sludge,Noise)
Blood Incantation、Khemmis等のいるコロラド州デンバー出身のニヒリスティックなスラッジ・ドゥーム。
2013年のデビューからHexis、Hessian、Xaphan、Northlessとのスプリット、Celeste、Dragged Into Sunlight、Weedeater、Eyehategod等とのツアーや来日、Fister、Sea Bastard等とのツアー/スプリットを経ての新作。
ブラッケンド・ドゥームな排他的感性は相変わらずですが、Ethan McCarthy氏(Gt,Vo)が2013年から2017年まで在籍していたWitheredでの経験からか、デス・メタリックなスラッジネスも取り込んできており、トータルで惨たらしく素晴らしい作品になってます。
今年からIndianも活動再開しているのでこの界隈は今後も注目していきたい所存で。

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Pyrrhon / What Passes For Survival

(US/Relapse Records/Technical Death,Psychedelic)
Relapse RecordsからWillowtip Recordsに移籍し発表されたNYの新鋭による3rdフル。
この間にep2枚や、Erik Malave氏(Ba)がやられているImperial Triumphant、Seputusの力作がリリースされています。
『The Mother of Virtues』でのサイケデリックでロウな音楽的要素が不協和系のテクニカル・デスと共振して生まれたサウンドは少なからず界隈に衝撃を与えた訳ですが、今作ではより高次元にアップデートされ、Today Is The DayやLocust、Retox等のアプローチを取り込んだような事件性が高い作品となっており、♯6ー8の連曲の構成や、ジャズな感性のソロ・プレイ、技巧的な音像の中で陶然と響き渡る屈折したサイケデリアほか、相変わらず先鋭的な姿勢でデス・メタルの可能性を拡張し続けております。

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Contaminated / Final Man

(Australia / Blood Harvest / Death)
IgnivomousのGtやInternal RotのDrを擁するOZデス・メタルの1stが最高過ぎ。
暗黒オールドスクール勢の中でも、群を抜く速さと重みを誇りながらに、ブラストに固執しないレンジの広い曲構成が見事。
そのリヴァイバルやコンセプチャルな思想が進み混沌として行く界隈の中で、ライヴ・バンドの矜持である洗練された躍動的アプローチが轟轟と鳴り止まない名作。
Incantationの1stやUndergangの1st的な良さで、『速く、重い』それにつきます。

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Venenum / Trance Of Death

(Germany / Sepulchral Voice Records, The Ajna Offensive / Death,Black)
ex-Excoriateで現Hellish CrossfireのP.T.氏(Patrick "Evil Possessor" Tauch氏)(Gt)やDivision SpeedのAggressive Perfector氏等によるジャーマン・デスの1stフル。
2011年の傑作EPから各メンバーの目覚ましい活躍を経て待望の1stとなった訳ですが、ヴァイオリンのイントロから始まり、そのリフで終末を迎えるアルバム構成の妙もさることながら、
Watain系のリリカルを内包した踊るようなスラッシュ・リフを軸に暗鬱かつ密教的なデス・メタルを構築しており、全体を覆うエピックなムードがそのパラノイアを立たせています。
Sepulchral Voice RecordsのカタログはCharon、Grave Miasma等War Bestial界隈とも親交のある層を初め、Degial、Vorum、Necros Christos、Excoriate、Drowned等の密教的な粒ぞろいですが、
本作はそのGrave Miasma系列を支持する層に加えて、後期Morbus ChronやObliteration、Negative Plane等を支持する層にも訴求し得る怪音源でした。

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Artificial Brain / Infrared Horizon

(US / Profound Lore Records / Technical Death)
DemilichやGorgutsが生み出し、UlcerateやPortalが概念を固定化し、Gorgutsの再結成や同時期に登場したバンド群が潮流を生み出した一方、Deathspell Omegaの存在がシンボリックに佇んでいるケイオスやポストの流れにもある不協和系のテクニカル・デスは、近年注目を浴びるシーンの一つですが、RevocationのDan Gargiulo氏(Gt,Vo)含むトリプルGt編成のArtificial Brainの登場もセンセーショナルに扱われています。
Krallice(Gt)、Gorguts(Ba)のColin Marston氏はシーンの重要人物で、前作に引き続ぎその手に掛ったこの2ndフルは、新しい界隈でのテクニカルを邁進する作品として、コールドなイメージのリフを立体的かつ知的に組み立てる個性が深化しているようです。

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The Ruins Of Beverast / Exuvia

(Germany / Ván / Black,Doom)
NagelfarのAlexander von Meilenwald氏によるプロジェクト。
どの作品も甲乙つけがたい、毎作傑作レベルのクオリティを繰り出してくる彼の仕事であることなので、そらもう今作も昏い感性を魅了させてくれるものだろうと思っていましたが、頗る良いですね。
彼の変遷を追っていくだけ、一人プロジェクト的なプラスティッキーは消磨していき、アトモスフェリックブラック/ドゥームの深遠的な響きが深くなるのはさることながら。
今作は密教性が高まった前作の息遣いを維持しつつも、自然愛の信仰が高まっているようなリリカルな作品となっている様に思えます。

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Rebirth Of Nefast / Tabernaculum

(Ireland,Iceland / Norma Evangelium Diaboli / Black)
オカルト志向のブラック・メタルMyrkrにて密教的な歌唱を聴かせ、ex-Wormlustで、またMistyrming界隈ほかアイスランドのシンジケートとも精通するWann氏の新プロジェクト。
発足自体は2006年ながらアイルランドからアイスランドに移住、9年の歳月を経たところで異能の1stがNorma Evangelium Diaboliから登場。
レーベルカラーからDsO影響下の存在として捉えられがちですが、勿論大きな流れの中の存在ではありますが、インタビューでは一個人が生み出すブラック・メタルの崇高なる芸術性の追求と呼べるものと言われており、近年スリリングな動きを見せているアイスランドの底知れない感性を補完するような渾然とした様相を呈する、とんでもない作品ではないでしょうか。

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Incantation / Profane Nexus

(US / Relapse Records / Death)
古巣Relapse Recordsの移籍作。ex-GoreaphobiaのAlex Bouks氏がImmolationに加入してしまったので、今回は3人編成に前作でゲスト参加されていたSonny Lombardozzi氏(Gt)がゲスト参加する布陣での制作となり、引き続きDan Swano氏によるマスタリング。
John McEntee氏の本質的な部分が映し出されたとも言えるような、デス・メタルのダークサイドを象徴する、贅肉をそぎ落とした原初的サタニズムを吐き出す洗練された暴虐性と♯5等でのAutopsy再来やDisma登場以降のポスト的なライティングの妙が激渋でした。

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Amenra / Mass VI

(Belgium / Neurot Recordings / Post-Sludge,Doom)
ここ数年で日本でも急速にAmenraの名前を見るようになりましたが、フルとしては5年振り、
私的には『Amenra III』が好きで良く聴いていますが、Neurot Recordings移籍後は高いドラマ性を以って聴かせてくれます。
今作もNeurosisを脱構築した自傷的なサッドネスが濃厚でありつつ、虚無感を与える張り詰めた空気を生み出していて、シーンを動かす力を携えているようです。
Youtube等でも観られますが、彼らの狂的なライヴも必見です。

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The Chasm / A Conscious Creation from the Isolated Domain (Phase I)

(US / Lux Inframundis Productions / Death)
ex-Cenotaphでex-IncantationのDaniel Corchado氏を中心として今現在はシカゴを拠点に活動を行うThe Chasmの新作は
Shub NiggurathのJulio Viterbo氏は脱退後の作品として、全曲オール・インストの作風が早くも話題とはなりましたが、
北欧エクストリームシーンや80'sプログレ勢からの影響を昇華してきた彼の、自己内在的な暗黒性を奇想するトゥルー・アンダーグラウンドな技法は変わりなくドラマ性溢れる作品となっています。

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ENDON / Through The Mirror

(Japan / Daymare Recordings / Noise,,,)
極東アングラシーンの深部から、その最新鋭のサウンドを以ってして世界に殴り込みをかけたENDONの2ndフル。
GruntでDeathspell OmegaのMikko Aspa氏が、ノイズ/フリージャズ的技法を以ってブラック・メタル・シーンに革命をもたらした後の世界でDeafheavenがKurt Ballou氏の手に掛りDeathwish Inc.の激情HC性と、ポスト・ブラック/(ロック)を繋いだ衝撃に次ぐ新種の衝撃を湛えたノイズとメタルを繋ぐ架け橋で、別方面の巷で話題のCode Orangeとも同様に様々な媒体から高い評価を受けている作品。
それは、Kurt Ballou氏(Converge)のスタジオで制作され、ノイジャンのハードコア性が、
広義のポスト//トラディションという相反する分野を通過/共鳴しており、漂う悪の気配に魅了される名盤。

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Akercocke / Renaissance in Extremis

(UK / Peaceville / Avantgarde Black)
英国ロンドンのアヴァンギャルド・ブラック・メタル。
『Antichrist』から10年で、その間にVoices、Shrines、The Antichrist Imperium等の関連プロジェクトもありましたが、本筋の音がやはり孤高で唯一無二と言うことを再認識させられる傑作でしょう。
『Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone』制作のNeil Kernon氏とAlan Douches氏による施しもあり、同作を想い起こさせる陶然と響き渡るような色気と、異能さを引き立てるインテリジェンスなアンサンブルは、懐かしさと同居した幽玄な情緒に魅了されます。

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Butcher ABC / North of Hell

(Japan/Obliteration Records/Death,Grindcore)
日本におけるゴア・サウンドの総本山。Obliteration Records総裁Narutoshi Sekine(Butcher Analtoshit)氏率いるバンド。
世界的な評価も高いButcher ABCの1stフル。
CarcassルーツのXysma、Lubricant、Disgrace、Dead、そして前身であるClotted Symmetric Sexual Organ(C.S.S.O)系のグラインド・ロックを基調として、90's由来の様々なオールドセンスがオマージュされたフェチ全開のデス・メタル/グラインド・ロック作品であり、そのゴアグラインド,エレクトロ,ポルノとも若干の共感を得るダンサブルなセンスの中での攪拌っぷりがキャッチーでしこたま面白いです。
100%ライヴ映えしそうで実際に現場で観たいところでありつつも、ラストナンバーは情感的でダイナミズム溢れるもので、アルバム全体で聴かせる意図のようなものも窺え、彼らの一貫したゴア、ミートな連続性の中でも現代的なクロスオーヴァーのセンスも汲まれた名作であると思います。

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Loss / Horizonless

(US / Profound Lore Records / Funeral Doom,Death)
ジョニーキャッシュを生んだカントリー・ミュージックの聖地テネシー州ナッシュビルの憂欝。
元々InquisitionやBestial Summoning等のリリースでのWar Hammer Recordsを走らせていた
Mike Meacham氏(Gt,Vo)の尽力もあって、アングラからの支持がアツかったバンドですが、Profound Lore Records契約後は、ドゥーム・メタル側の活動に比重を傾けています。
Buzzov•en、Acid King、Sleep、High on Fire、OM等を手掛けたドゥーム神、Billy Anderson氏プロデュースの元制作された2ndフルで、Dark CastleのStevie Floyd女史、LeviathanのWrest氏がゲストVoとして終曲での葬送の儀へ加わっている本作は、Billy氏が手掛けたPallbearerの『Foundations of Burden』に次ぐマイルストーンとして界隈からの注目を集めており、作品としてもソロウ、モーンフル、Warning以降のエピックを軸として、精神の歪んだサッドネスな世界を揺蕩うかのイカれた作品を仕上げてきております。

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Undergang / Misantropologi

(Denmark / Me Saco Un Ojo Records, Dark Descent Records, Extremely Rotten Records, Headsplit Records / Death,Doom)
Undergangやんけ!こりゃええわ~。
4thフルはAutopsy、Anatomia等の存在に続きドゥーム・デス・メタルの未來を見る内容です。
常々感じさせていたシネマティックな趣向としてのサントラ・ライクな構築力も生かされつつ、
死の象徴主義を呼び起こすアトモスフェリックな手法は、リヴァイバルを超えた姿勢を感じさせます。
密教的なメロウさに加え、スピードが回帰していることもあり聴きやすい快作に仕上がっておりました。

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Aosoth / V: The Inside Scriptures

(France / Agonia Records / Black)
Norma Evangelium Diaboliの設立に携わり、Spikekult Productionsを運営しAntaeusのVoでもあるMkM氏(Vo)とIbanez guitarsと契約しex-Aborted、ex-Garwall、ex-Maleficentiaで、VI、Genital Grinder、The Order of Apollyonでも活躍するBST氏(Gt)等を中心に活動を行ってきた、00’sフレンチ・ブラック・メタル・シーンの代表格Aosothの最終楽章と目される本作!!!!!!!!!!!!
反キリストに根差した背徳的なダークネスの横溢する楽曲群の圧倒的排他的ケイオスのリチュアル・アートは素晴らしいにも程がある!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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Converge / The Dusk In Us

(US / Deathwish, Epitaph / Hardcore)
Deathwish Inc.の運営からメタル・シーンに激情型を輸入、GodCity Studioの運営から未知なる激音を創造、そしてConvergeでの活動を以って、自らもカオティックハードコアの草分け的な存在として活躍し多くの後続を生んだKurt Ballou氏の存在なくしては昨今のシーンは語れないですけれども、今年はJacob Bannon氏(Vo)のWear Your Woundsや、Ben Koller氏(Dr)のMutoid ManやAll Pigs Must Die等多くの関連プロジェクトが巷を賑わせている所で、そのどれもがジャンルの垣根を超えた特質的な音楽のあり様を示しているのが興味深くあり、また個人的にも鼻水垂らしたキッズとして楽しまさせていただいている訳ですが、中心にあるConvergeの新作は、前『All We Love We Leave Behind』の次の作品でありながらに、その心は連続的な次の作品にはない近年のドラスティックなシーンの変容に対する、今現在の彼らのセクシーな視点を覗かせつつ、WYWとの共振も窺わせるかのポストを探求する内容で、愛聴しています。

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Necrot / Blood Offerings

(US / Tankcrimes / Death)
VastumのLuca Indrio氏(Gt,Vo,Ba)、ex-Vastumでブラッケンド・クラストAtramentのChad Gailey氏(Dr)、ストーナー・メタルSavioursのSonny Reinhardt氏(Gt)によるUSカリフォルニア州オークランドのNecrotがデビュー。
Vastumもそうでしたが、豊富な展開を彩るリフがダークで色っぽい。またオールドスクールな良さの中でもタッピングを用いた展開等もあり超巧い。Immolationの影響みたい。
時に20 Buck Spinやボルトスロウィング的なカラーのクラスト感と掛け合わされていて、相当イカした作品になってます。

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Spectral Voice / Eroded Corridors Of Unbeing

(US / Dark Descent Records / Death,Doom)
Blood Incantationのメンバーによるコロラド州デンバーのドゥーム・デス。
Disembowelmentウォーシッパーなサウンドとして、初期EvokenやDusk的なUSフュネラル・ドゥーム/デスの空気感や整合感を汲み取りつつDark Descentのレーベルカラーとも言うべき漆黒の音世界に覆い尽くされています。
Disembowelment~初期Evoken迄というジャンルが確立される寸前の多様な含みを持つサウンドを、ここまで現代的なアプローチで昇華してくる含蓄に富んだ現行バンドがとうとう現れたかといった感じで衝撃でした。コロラドのアングラはここ数年ずっと興味深いですね。

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Monolord / Rust

(Sweden / RidingEasy Records / Doom)
Monolordは、2015年にSalem's Potと共に行われたUKヨーロッパツアーを皮切りにUfomammutと共に敢行された小ツアーやBeastmakerを従えた北米ツアー、今年Conanと共に敢行されたヨーロッパツアー等を経て着実にドゥームメタルシーンの中で成長してきている訳ですが、新作はやっぱり最高。
激重界隈への批評性が増してきており、Windhandや、Pallbearer、Elder等に続く作品であるとも思えるところで、実際はどのバンドとも異なりつつも、ストリングス、オルガンの息遣いやリリカルな歌唱、Electric Wizzard由来のドゥームリフ等、その全てを咀嚼したようなアプローチに打たれます。

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Abigor, Nightbringer, Thy Darkened Shade, Mortuus

(International / Self-released / Black)
これはDeathspell Omega/Blut aus Nordフォロワーと目されていた近年のAbigorの作風に共鳴する一つの作品として完成されています。
4Way Split的なコラボ作として、それぞれが一曲づつインテリジェンスな楽曲を差し渡している訳ですが、目下の情景としては、暗澹たる雰囲気にフリージャズ的な進行があり、そんな中でレーザーみたいなトレモロの閃光があり、ケイオス・リチュアルな宇宙のミニマムがあり。『Desert Dances and Serpent Sermons』辺りの作品に面白みを感じる方は是非。

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Emptiness / Not For Music

(Belgium / Season Of Mist / Black,Death,Trip Hop)
EnthronedのGtによるEmptinessの怪作。
最早、ブラック/デスからも脱却してきております。
べルギー・ニュービートを思い起こさせつつも、
排他の行きつく先にある、虚無を感じる
厭世的なポスト・エクスペリメンタルが起源しています。

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Process of Guilt / Black Earth

(Portugal / Bleak Recordings, Division Records / Post-Sludge,Doom)
ポルトガルを拠点に活動を行うNeurosis、Amenraの系譜に連なるポスト/アトモスフェリック・スラッジ・メタル。
Rorcalとのスプリットを経て制作された本作は、シカゴのThe Boiler Room MasteringにてAtaraxie、Eyehategod、Cough、Indian、Wolvhammer等を手掛けたCollin Jordan氏によるマスタリング。この人選からも窺えるブラッケンドな感性と、今回から手数の増えたドラミングを軸とするトライバル感覚の同居したドス黒いサウンドスケープは、息を張りつめるような緊張感や激重由来の深みのある情調を生み出しつつ、サイケかつシックネスなリフがストレンジ・アートな側面を打ち出しており、じりじりと畳み掛けられる力作となります。

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Morbid Angel / Kingdoms Disdained

(US / Silver Lining Music / Death)
Trey Azagthoth氏(Gt)を中心として、F、G、Hのアルバムで歌い、Nader SadekやWarfather等で活動を行っていたSteve Tucker氏(Vo)が復帰、ex-Abysmal DawnのScott Fuller氏(Dr)と、バンドのオフィシャルHPを手掛けているDan Vadim Von氏(Gt)が新加入されたラインナップで、Erik Rutan氏プロデュースの元、Mana Recording Studiosにて制作。これがどうしてなかなか、味わい深いです。
クトゥルーなリフは中盤まで殆どメロディに乏しく、ギター・ソロも最低限なもの、Mana Recordingサウンド特有の渇いた質感のミックスがよりグルーヴを際立たせたサウンドは、どちらかと言うとデスコアちっくな感覚を与えつつ、Scott Fuller氏によるリズミカルで歌心溢れるシンバル使いがメロディの基軸を担っており、純然たるデス・メタル回帰ながらも前作の実験性を凌ぐ冒険的な好内容。良い悪夢を見させてくれます。

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Lantern / II - Morphosis

(Finland / Dark Descent Records / Death)
Throneumみたいなプリミティブなサウンドを聴かせていたCacodaemonのCruciatus氏(Gt,Ba,Dr)等によるフィンデス。
CruciamentumのDan Lowndes氏(Gt,Vo)のスタジオでミキシング,マスタリングが施され、前作から音質が明瞭になりやや整合性が変わってきています。
陰ながらオカルト思想の密教性を内包したデス・メタルを長きに渡り創造されてきた彼らだけあり、何のフォロワーであることも匂わせない多彩なリフによる巧みな構築力の中での魅惑的なソロ・プレイの数々は殺傷性が高く、Watain『Lawless Darkness』等で知られるZbigniew Bielak氏のアートワークも含め完成度が高く思います。

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Power Trip / Nightmare Logic

(US / Southern Lord,Daymare Recordings / Thrash)
ノリノリのヴァイオレント・クロスオーヴァー!デーーン!ドゥドゥタ!ドゥドゥタ!ドゥドゥタ!ドゥドゥタ!ドゥドゥタ!ドゥドゥタ!ドゥドゥタ!

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Lorn / Arrayed Claws

(Italy / I, Voidhanger Records / Black)
1999年結成で、今現在はex-InvertedのEnrico Scriminich氏(Dr)と、ex-Battle DagorathのRadok氏(Vo,Gt,Ba,Key)によるアンビエント・ブラック。
ケイオスなムードに近年のNightbringerやAbigorのようなコズミックめいたトレモロの技法を掛け合わせ、宅録的な面白味とDIYなSF感で紡ぎだしてきたサウンドは、茫漠たる暗黒空間を彷徨していくような叙情的構造を創り出し、浮遊感溢れるラスト・ナンバーまで聴かせてくれます。

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Bestia Arcana / Holókauston

(US / Dark Descent Records / Black)
NightbringerでAkhlysの中の人であるNaas Alcameth氏(Guitars, Bass, Keyboards, Vocals)、Nightbringer、Enthroned、Lvcifyre、Epping Forestなど世界を股に掛けて活動を行うMenthor氏(Dr)にLvcifyreのT. Kaos氏とNightbringerのOphis氏をゲストVoとする編成で、Satan's HostやCobaltほかこの界隈のバンドに加えPrimitive Man、Cattle DecapitationやCephalic Carnage等も手掛けるDave Otero氏運営のコロラド州デンバーにあるFlatline Audio Studioにて制作。
もし迷い人に、今年一番おっかねえブラック・メタルを聞かれたら本作を挙げたい作品。Akhlysと同系統の混沌としたアトモスフィアが漂いながらも
同時に00年代のThe Ruins Of Beverastを彷彿とさせる濃密な密教性も感じさせる音像を鳴らしており、暗鬱な瘴気に魅せられます。

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Pagan Altar / The Room Of Shadows

(UK / Temple Of Mystery Records / N.W.O.B.H.M,Doom)
出ましたね、Pagan Altarの新譜。
Terry Jones氏の生前に録音されていた作品をリレコーディングした作品で、
久々の新譜でもありますが昨日と変わらないような悠久を携えた音遣いが渋くあり。堪りません。
因みに現在ライヴではMagic CircleのBrendan Radigan氏がVoを務めているよう。

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Ufomammut / 8

(Italy /Supernatural Cat, Neurot Recordings / Stoner, Psychedelic Doom, Post)
Malleusなるアート集団としても活動を行うイタリアのサイケデリック/ポスト/ストーナー・ドゥーム。
Neurot Recordings4作目となる9thフル。(Oroの2作を1作とすれば、3作目となる8thです)
一貫して譫妄的なトリップアートのミニマムを演じる、大作志向の激重サウンドの別ヴァージョンを提示してきておりますが、今回はスペーシーな酩酊感を孕んだストーナー・ライクな展開が多く、彼らの中では聴きやすい作品ですし、相変わらず、が爆発してます。堪んないですね。

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The Body & Full Of Hell / Ascending A Mountain Of Heavy Light

(US / Thrill Jockey,Daymare Recordings / Pop)
The Bodyというのは、ある種確信犯的に00年代以降を代表するクソ音楽の殿堂と化してきましたが、
Full Of Hellとのコラボレーション第2弾でよりクソのディティールを彫琢してきています。
The Bodyのポップな作風を軸に構築されてきており、やりたいことやってる感じが羨ましく、
どちらかと言うと聴けない作品ですが、両者の化学反応で聴けるものを作るのは恐らくミステイクであり、総合的にみてサブ・ポップな感じが良くあり。『All the Waters of the Earth Turn to Blood』や『No One Deserves Happiness』ほかKriegとのコラボレーションが好きでしたら是非とも聴いてみてほしいですね。

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Vulture / The Guillotine

(Germany / High Roller Records, Dying Victims Productions / Speed,Thrash)
High Roller Records所属するBulldozing Bastardの2人組を擁するスピード/スラッシュが、
好評だったEPに次ぐRazor meets Bulldozer的なエッジの効いたメタル・フェチ全開作をリリース。
今の価値観だと全然評価されてないのが悲しいですが、透かした時代に似合わないロマンに心躍らさせてくれる作品だと思います。
アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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Boris / Dear

(Japan / Daymare Recordings, Sargent House / Doom,Experimental)
Melvinsルーツとするドゥーム/シューゲイザーのクロスオーヴァーは近年の体系化されてきたトレンドとしてあるようですが、Borisはその中でも先駆的な存在で、今作はその時点への回帰を窺わせるような作品です。
25周年という節目で、メタル/オルタナティブの曖昧な境界で多幸感を呼び起こす轟音の世界を追求した彼らの集大成ともいうべき悠然とした音の流れは、ノイジーなギター・トーンをもって大地を揺るがすヘヴィネスを巻き立て、ピンと張り詰めた細やかな息遣いや繊細な情緒を引き立てる進行が圧倒的な展開を導いていく。ノイズ、ドローンといった排他的なイメージをもつ大加藍のなかで、ダークなワードを用いながらも自然的な雄大さや日陰の奥ゆかしさを感じさせるような彼らならではのサウンドスケープも素敵です。

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Todesstoss / Ebne Graun

(Germany / I, Voidhanger Records / Depressive Black)
室内楽ポスト・ディプレッシヴ。フルとしては8作目???の作品。全1曲約46分収録。
今回はシンセを用いたファンタジックな音色の、アコースティックな感覚が強い作品で、狂人から世捨て人の道を進んだような気の触れた精神性を発散してくる、相変わらず本人にしか良さが解らんような作風を推し出しておりますが、本人には良さが解るんだろうなと思わせるだけ、良い作品と言うことなんだと思いますし、長尺な楽曲の整合感も年々上がってきており、トレンドを超えた洗練性を感じさせます。

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Drug Honkey / Cloak of Skies

(US / Transcending Obscurity Records / Industrial,Death,Psychedelic Doom)
イリノイ州シカゴの元を辿ればMaster界隈のAaron Nickeas氏が絡んでいたBody Bagや、Morgue Supplier、Broken Hope、Gorgasm等のアングラ・デス・メタルで近年はノイズ・インダストリアル界隈でも活躍するHonkey Head氏とB.H. Honkey氏を中心に活動を行うDrug Honkey。Yakuza、Corrections House、Bloodiest等でのBruce Lamont氏(Saxophone)がゲスト参加した本作。終末思想漂う陰性のポスト/インダストリアルとしては、Godfleshを初めとしてJustin Broadrick氏がIsisのAaron Turner氏とやられていたGreymachine等が挙げられる作風と共振していますが、空気感が伝播するところのフュネラル・ドゥームやドゥーム・デス的な思想としては元々はThorr's Hammerを始点とするミスティックな世界観でもあり、今回はそういった塩梅でのディストピアの創造っぷりが見事。相変わらずの怪音源でした。Author & Punisher、P.H.O.B.O.S.ほか近年のポスト・インダス界隈をより混沌としたものにさせるキラー・タイトルですね。

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Nightbringer / Terra Damnata

(US / Season Of Mist Underground Activists / Black)
Akhlys, Bestia Arcana, Excommunion等でのNaas Alcameth氏の拠点とも言うべきNightbringerの新譜。
アングラな活動が目を見張っていた彼らですが、遂に表層に姿を現したような作品となっており、
超高速で畳み掛けられるトレモロの妙技が、カルトリチュアルな幻影を生み出すサウンドのイメージは混沌として、緻密に構築された壮大なオーケストレーションのようなものであり、破滅を導いています。機体で言うとジ・Oみたいなサウンドです。

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Demon Head / Thunder On The Fields

(Denmark / The Sign Records / Vintage, Strange)
DarkthroneのFenriz氏が前作に引き続いて推されているデンマークのヴィンテージ型です。
どっぷり70'sではなく、そこからのアンダーグラウンド性を維持しながらに、
幻想文学由来の仄暗いトリップを持つサウンドで、愁気を帯びた音像を披露。
最初のリフで締められるアルバムの展開も美しく。名門となったRise Above系とは違った味わい深さがあり、ずっと聴いていました。

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Epping Forest / lebaBVoid

(Portugal / Unexploded Records / Blackened Death)
Nightbringer、Enthroned、Lvcifyre、Epping Forestなど世界を股に掛けて活動を行うMenthor氏(Dr)が参加するポルトガルの古参ブラッケンドデス。
約9年ぶりの2ndフル。健在です。前作は訝しげなキーボードの音色がRotting Christにも近しい世界観を形成しましたが、今回は作風にも若干の変化があり、EmperorやAnaal Nathrakhのような荘厳なクリーンと取り憑かれたようなグロウルを巧みに操り、ブラストとコールドリフを主体としたファストな進行を軸としつつコンセプチュアルな世界観を形成される様は、BehemothやBelphegor、Forgotten Horror、Infernal War、Melechesh等に比肩するクオリティを感じさせます。
物語を補完する鍵盤やサックスの美旋律やドラマティックな語りから打ち立てられる展開美構築美は昨今のリリースではかなり抜きん出た出来ではないでしょうか。

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Memoriam / For the Fallen

(UK / Nuclear Blast / Death)
『...for Victory』以来シーンに復帰したex-Bolt ThrowerのAndrew Whale氏(Dr)、ex-Bolt ThrowerのKarl Willetts氏(Vo)、SacrilegeでBenedictionのFrank Healy氏(Ba)、BenedictionのライヴメンバーであるScott Fairfax氏(Gt)というUKデス・メタル・シーンのレジェンド達による新バンドです。ウォー&エピックなダイナミズムから導き出される00's Bolt Throwerの遺伝子を継承しており、感涙の一作に仕上がっております。

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Desolate Shrine / Deliverance from the Godless Void

(Finland / Dark Descent Records / Black,Death)
ex-SearのLL氏(All instruments)とRS氏(Vo)、MT氏(Vo)によるスオミ・ブラッケンド・デス
Anaal Nathrakh的な編成ですが、オールドスクールやオカルト、アンダーグラウンドに根差した現代流の暗澹たるサウンドスケープは今作でも健在であり、初期から一貫して、GOTHと死の瘴気が同居したようなサウンドでありつつ、ミスティカムな概念の伝播するニヒルで恐ろし気な世界観の構築に徹しています。CruciamentumのDan Lowndes氏によるマスタリング。

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King Woman / Created In The Image Of Suffering

(US / Relapse Records / Stoner, Doom,Shoegaze)
ex-DeafheavenのNick Bassett氏等が在籍する冷徹なシューゲイザー・バンドWhirr内でのKristina Esfandiari女史(Vo)が、Whirr脱退後新たに結成した気鬱なストーナー/シューゲイザー・バンド。
SubRosaやChelsea Wolfe成功以降のヒップスターとして多角的な見方をされている所ですが、嫋やかな楽曲をハスキーな歌唱が追っていくサウンドは、インディー感で言えばUKのThe Riverと共通する部分で、シューゲイザーとのブレンドを確立する繊細かつ情緒的な構築美はOathbreaker的でもあり、現代的なアートメタルの在り方としてはBlack Math Horseman、True Widow、Ides Of Gemini、Mamiffer、Dead to a Dying World等のプロジェクトを追っている方にも訴求するであろう作品となっております。

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Morta Skuld / Wounds Deeper Than Time

(US / Peaceville / Death)
USミルウォーキーのDeaf Records~Peaceville Recordsと契約していたバンド。
1998年解散後2012年に再結成され、2014年のEPを経て完全復活を果たしたよと言ったような仕上がり。
ex-Jungle RotのEric House氏(Dr)により叩き出されるミッド・テンポ主体の曲構成はモダンにアップデートされつつ、ObituaryやBaphomet系のグルーヴ・ライクなおどろおどろしさは健在で、やはり好きなバンドであるだけ良く聴いてましたね。

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Father Befouled / Desolate Gods

(US / Dark Descent Records / Death)
EncoffinationのElektrokutioner(Wayne Sarantopoulos)氏とGhoat(Justin Stubbs)氏を中心にAbyssionのDerrik Goulding氏とRhys Spencer氏によるUSジョージア州アトランタのFather Befouledは、Incantation、初期Absu、Drawn and Quartered等の遺伝子を汲んだNecros ChristosやGrave Miasma、Dead Congregation等と共振する排他的世界観を形成する凄惨な新鋭で、今作はCruciamentumのDan Lowndes氏によるResonance Sound Studioでのミキシングともあり、これまで模糊とした激烈な音空間が明瞭に際立たせられていて、五臓六腑を穢す叙情的なメロディを軸にフックの効いたアプローチが印象的となっています。Encoffinationの奈落や冥界といった情景を、暗黒勢のリヴァイバル的技法を軸として退廃的に組み立てる様は激陰で惨たらしく冥獄界の如きで。

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Monarch / Never Forever

(France / Profound Lore Records / Doom,Drone)
Emilie女史とYear of No LightのShiran Kaïdine氏等の5人編成で、Corruptedフォロワーの中でも、ブラック・メタルとの親和性を持ちメジャーの界隈への反発心から逆十字を掲げるバンドにして、奇しくもBurning Witch,Khanate界隈へのフランスからの回答的なサウンドともなったMonarchによるProfound Lore Records2作目でありフレンチ・フュネラル・ドゥームWastesのNemri氏加入作となる8thフル。初期から一貫した退廃性で聴かせてくれますが、虚ろ気に繰り広げられるアンチワールドな空気感の音像としての幻想世界の構築は、パーツとしてはShiran氏がインタビューで語られているThergothonを源流とした暗澹たるデス/ドゥーム由来のペーソスを感じさせるもので、今回もトラディショナルを尊重した先鋭的なアプローチとして堂に入っています。

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Usnea / Portals Into Futility

(US / Relapse Records / Blackened Funeral Doom)
Relapse Recordsから送り出されたオレゴン州ポートランドのUsnea。
Thorr's Hammer~Burning Witchの音楽的思想に根差したブラッケンド・フュネラル・ドゥームとして活動を行う彼ら。
この作品では新たにダブルベースを用い、Carl SaganGene Rodman Wolfe等のSF作品からインスピレーションを得た技術的思想的な深化を見ることが出来ます。
宇宙への畏怖を感じさせる壮大なサウンドスケープは、Bell Witchのようなモーンフルな叙情感を引き立てるのみにあらず、ブラッケンドな既存概念を打ち壊す排他性を内包しているのが渋くあり。
その為一目ぼれするスタイルでもない訳ですが、長く聴いているうちに嵌って行く感じは、その深化足らしめる部分でもあり、絶妙なリリカルとして仕上がってます。

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The Ominous Circle / Appalling Ascension

(Portugal / Osmose Productions, 20 Buck Spin / Death)
GruntやHolocausto Canibalのメンバーが絡んでいるポルトガルの覆面集団。
Osmose Productionsと20 Buck Spinからの衝撃的なデビューとなる本作は、
Incantation~Dead Congregationの遺伝子を継ぐ暗黒濃度の高い、密教的なサウンドで早くも話題となります。
知られざる国の土着的な神秘性を携え、Necros Christos、Grave Miasma、Drowned等とリンクする界隈を通過、摂取したアプローチは儀式の幻想と不気味なムードを湛えたダークな独創性に満ちたもので、現代性の死の象徴主義を邁進しています。
Vanhelgd、Tribulation、Infinitum Obscure等の作品で知られるスウェーデンはNecromorbus氏運営のNecromorbus Studioにてマスタリング。

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Entheos / Dark Future

(US / Spinefarm Records / Technical Deathcore,Progressive)
『Autotheism』リリース後The Facelessを脱退したEvan Brewer氏(Ba)、An Endless Sporadicでex-Animals As LeadersでThe Facelessの1stでも叩いていたNavene Koperweis氏(Dr)や、SystemsのChaney Crabb氏(Vo)、InferiのMalcolm Pugh氏(Gt)等によるデスコア・バンドの2ndフル。前作はこれぞテクニカル・デスコアな音像を鳴らしていましたが、今作ではジャズ・フュージョン側の趣が強くなっており、これぞDark Futureなスケール感のサウンドを提示しています。現代の超絶技巧に支えられた様々なエフェウトを用いるサウンドはアヴァンギャルドな感覚も強く、デスコアの個性派としてこれからもこの道を追求していただきたいですね。

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Skeletal / Dreadful Life

(Finland / Inverse Records / Death)
2007年結成、ほぼ無名のフィンデスによる1stフル。
Oranssi Pazuzu『Värähtelijä』と同じTonehaven Recording Studioでの制作。
生産はDead CongregationとVerminousの中間のような新時代的なヴァイオレントを彷彿とさせる中でも、TribulationやMorbus Chron等の叙情性やオカルティシズムを取り込んだかのスタイルで、多彩な展開が魅力的であり。一作で解散しそうな気配もありますが、今後期待のバンドです。

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Coltsblood / Ascending Into Shimmering Darkness

(UK / Candlelight Records, Spinefarm Records / Sludge Doom)
ex-Conanでex-Black MagicianのJohn氏(Ba,Vo)と、Black Magicianで共演していたJay氏(Dr)、Jem女史(Gt)からなる3人組で、2014年の『Into the Unfathomable Abyss』時点で既にWatainのツアーをサポートした経験や、激重スラッジの中でも女性Gtを擁する特殊な面から注目を浴びていた存在です。
今作はConanのChris Fielding氏によるSkyhammer Studiosにてレコ―ディングされ、マスタリングはEsotericのGreg Chandler氏(Gt,Vo)が施しています。
前作に引き続き手掛けられたex-GriefのEric Harrison氏によるアートワークも強烈。各界からの恩恵を賜った作品であるところで、病的なドゥームとしてのその音像もイカしており、適度にファストに突進するパートを絡めつつ、歪んだディストーションの持つ異形の響きが時にEsoteric由来のペーソスを引き立てながら、排他的な能動性を導いているようです。

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以上となります。







AnatomiaやBloodway、Bell Witch、Thaw辺りのリリースはまだ聴けていません。
聴けたら変わってくると思います。現状はこの50枚をよく聴いていました。
全部好きなので順番はあまり関係ありませんが、Lossから上の作品はある種超えられない壁の先にある作品になると思っています。マイルストーン的な。

管理人の身の上話としては、層雲峡の住み込み生活から高円寺に移住して2年になります。レコ屋で働きはじめて2年ですね。現状引っ越しもしたいし転職したくなることも多いものですが、なんとかやっていけてます。来年も生きてたらお会いしましょう。

ご閲覧頂きありがとうございました。

それではまた。